フランスで活躍した芸術家ルネ・ラリック(1860~1945年)が手掛けた香水瓶約50点を、香水の広告約20点と共に紹介している。
ジュエリー作家として不動の地位を築いたが、香水商コティと出会い、香水瓶のデザインと製造という新たな創作に挑戦し、ガラス工芸家へ転身した。目に見えない香りの魅力を、真夜中に輝く月やスタイリッシュな高層ビルといったイメージに託し、香水瓶のデザインに生かした。
青い球体に星が散らばる香水瓶は「ダン・ラ・ニュイ」(真夜中)。連作の一つで、五つの作品名をつなげると愛の詩になる。「牧神の接吻」は、溶着された透明なガラスに浮かぶ人物像を香水が取り囲む。ラリックが特許を取得した「型吹きプレス同時成形」技法によるもので、複雑な意匠の成形を可能にした。独創性あふれる世界が堪能できる。
箱根ラリック美術館:2021年3月21日まで。一般1500円ほか。小田原駅・箱根湯本駅からバスで仙石案内所前下車すぐ。問い合わせは同館、電話0460(84)2255。