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絵と出合い才能開花 自閉症のアーティスト・GAKUさん

文化 | 神奈川新聞 | 2020年10月1日(木) 18:51

最後に「GAKU」とサインを入れるのが完成の合図

 赤、青、黄色─カラフルな色使いで独創的なモチーフを大胆に描くのは、川崎市を拠点に制作活動するアーティスト・GAKU(本名・佐藤楽音(がくと))さん(19)。3歳で重度の自閉症の診断を受けたが、16歳の時、同市岡本太郎美術館(多摩区)を訪れたのを機に才能が開花した。1年後には都内で初の個展を開き、今年3月には米ニューヨークでの個展も実現。これまでに仕上げた作品は大小500点を超え、「絵を描くのが楽しい」と今では一日中キャンバスに向かっている。

 GAKUさんは幼少からほとんど言葉を話せず、言語能力は6歳程度。自閉症特有の多動症があり、16歳になるまで5分と座っていられなかった。療育のため4歳で米・ロサンゼルスへ渡って9年間過ごし、2015年に帰国後は、父・典雅さん(49)がGAKUさんのために設立した発達障害・自閉症生徒のための福祉施設「アイム」(同市宮前区)が運営する通信制サポート校「ノーベル高等学院」(同市高津区)に通った。

「ニモ、描く」と、紫色に塗ったキャンバスにカクレクマノミを描くGAKUさん=川崎市宮前区のアトリエ
1日のほとんどをアトリエで過ごす

 17年冬、同校の遠足で岡本太郎美術館を訪れたのをきっかけに、「ガク、絵描く」と突然宣言。翌日から制作活動が始まった。制作をサポートするアートディレクターの古田ココさんは「騒いだら敷地内の生田緑地に行けばいいと、軽い気持ちで美術館に連れ出した。でも、ある作品の前で立ち止まってずっと眺めていた」と当時を振り返り、典雅さんは「その時の様子を聞いて、まず、じっとしていたということに驚いた」と話す。

 太いブラシとアクリル絵の具を渡すと、キャンバスに向かって自由に筆を走らせた。飽きることなく、毎日朝から夕方まで一心に絵を描く。「鮮やかな色使いと、独創的な構図はすべて本人が決めている」と古田さん。「直感で描くから迷うことがない」と典雅さんも目を細める。

 次々に作品を仕上げ、100号の大作にも挑戦。GAKUさんの「ガクの絵、飾る」の言葉を受け、昨年5月、東京・世田谷美術館で初の個展を開き、描きためた約60点を展示した。反響は大きく、アーティストの自覚も少しずつ芽生えていった。

ニューヨークの街中で自身の作品を掲げるGAKUさん
米ニューヨークのレスポートサックの期間限定店舗での様子(本人提供)

 しばらくして「ニューヨーク、ミュージアム」という言葉がGAKUさんの口から飛び出した。「その年、家族旅行で現地を訪れたのがきっかけだと思う。さすがに悩んだよ」と典雅さん。しかし親として可能な限りサポートしたいと、3月にニューヨークで行われる世界的なアートショーの開催に合わせてブルックリンのギャラリーを押さえ、クラウドファンディングで資金を募り、個展を実現させた。

 新作45点を展示すると、バッグブランド「レスポートサック」の担当者の目に留まり、個展終了後、SOHOの期間限定店舗に1カ月にわたって25点が商品とともに展示された。担当者は「(彼の作品は)楽しく、遊び心に満ちていて、とても前向きなメッセージを感じる。見た人をハッピーにしてくれる」と作品の世界観に共鳴し、コラボレーション商品の計画も進んでいる。新型コロナウイルスの影響で発売が先送りになっているが、近くGAKUデザインのバッグも登場する予定だ。

 コロナ禍の中、「絵、描くの楽しい!」とGAKUさんは精力的に制作を続ける。典雅さんは「彼にとって絵は自己表現の手段であり、一つのこだわり。1人のアーティストとして彼の作品を発信していきたい」と今後も後押ししていく。

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