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皆さん、ありがとうございました2022年3月31日

私にとって最後のプログラム


皆さん、こんにちは。
3月20日から「第38回かながわ音楽コンクール」がスタートしました。
開幕して10日が過ぎた昨日、ユースピアノ部門第1次予選を無事終了しました。
4月になるとヴァイオリン部門が始まり、ついでユースピアノ部門第2次予選、そしてフルート部門の第1次予選と続きます。

実は皆さんにお伝えすることがあります。3月31日をもちまして、「かなコン」から離れることになりました。2011年から足掛け11年に亘ってこのコンクールを担当してきました。最初の年に小学校1年生だった人が今や高校3年生、本当にあっという間でした。この間大勢の才能溢れる人たちと出会うことができました。そして審査員というお立場から素晴らしい音楽家の方々に、音楽の素晴らしさや可能性をご教示いただきました。楽器も弾けない門外漢の私にとって、クラシック音楽は今や無くてはならない日常での必需品になりました。そして何より皆さんの演奏を聴くことが生きて行く上で大きな糧となっています。

2011年は開幕直前の3月11日に東日本大震災が発生して「かなコン」史上初めて中止なり、全4部門(ユースピアノ、ヴァイオリン、フルート、シニアピアノ=現ピアノ)を行った2012年が実質の「かなコン」デビューでした。あの時は本当にツラかったなあ。
その後は少子化やピアノの習い事での順位が下がるなど参加者減少に歯止めをかけるためにユースピアノ部門では幼児の部の新設、在住地域による参加会場の制限をブロックに変更したり、ヴァイオリン部門にも幼児の部と一般の部を設けたりとあの手この手を打ち出し、時には増えたりまた減ったりを繰り返す11年でした。

私にとって気持ちの転機になったのが担当3年目くらい時、東京からヴァイオリン部門に参加されているお母様に「どうして神奈川のコンクールにわざわざ参加されているのですか?」と伺ったところ「新聞社が主催なのできちんとしたコンクールだと信頼して受けさせました」と言われたことです。
「かなコン」の担当はだいたい3年、長くても5年くらいなので、自身の気持ちのどこかに「社業として素人が一定の期間担当するのだから」という甘えがありましたが、このお母様の一言が私を変えました。
私たちが運営しているコンクールに一生懸命練習して臨み、失敗した時は人目をはばからず涙を流し、満面の笑顔で受賞を喜んだりする皆さんを目にするたびに「もっと良いコンクールにできないだろうか」というジレンマと常に葛藤し続ける様になり、他のコンクールも参考のため時間の許す限り見学に伺いました。これらは本当に勉強になったと同時に「かなコン」で知り合いになった方を思いっきり応援できる貴重な機会でした。

そして2020年に新型コロナウイルス感染症対策で2度目のコンクール中止となった際に大勢の方からコンクールの開催の望む声を寄せていただきました。また長期間の休校で友人と会う機会や演奏を発表する場が次々と失われて行く惨状を耳にして、1日も早く音楽活動を再開したいと切望し10月にチャレンジコンサートを開催、その時の経験を糧に2021年3月にコンクールを再開させることができました。

今年がコロナからの復活2年目ということで、より日常に戻った姿で行うつもりでしたが、志半ばで離れることは本当に残念です。ただ、しばらくは会場に赴き後任のサポートを行う予定なので、何人かの方とはお会いできることと思います。

この間、皆さんの演奏やふれあいに励まされ癒されてばかりだったのに、自分の無力さから皆さんに何もしてあげられなかったという悔恨の想いが残ります。
前回のコンクールが終わった際に「残りの自分の時間を音楽に勤しむ子供たちに奉仕したい」という決意を持ちました。一時音楽の世界から離れることになりますが、いつか必ずこの世界に戻って来たいと思っていますので、これからも機会があれば、是非皆さんの演奏を拝聴したいと願っています。
皆さんありがとうございました。そして、頑張れ子供たち。いつまでも応援しています。
(塚田一成)