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第37回の課題曲について(ユースピアノ編)2020年11月30日

第35回大会幼児の部表彰式


皆さん、こんにちは。
気がつけば、2020年も残り1ヶ月。今年は6月までは本当に何も出来ずに鬱々と過ごしていただけに、2020年は実質6ヶ月しかなかった感がします。

さて、前回に続き発表された課題曲のユースピアノ部門について言及します。課題曲選定でも一番大変なのがこの部門で、それは幼児~高校生までの各部で挙がっている曲数を見ても一目瞭然だと思います。7人の課題曲選定委員から選出された候補曲は採用された曲の数倍にのぼります。
その中で、小学校高学年の本選、中学生の第1次予選と本選、高校生は全てがこの数回変わっていません。毎回検討はしますが選定委員からは特に変える必要はないとのご意見が圧倒的です。
毎回課題曲が変わるところでも傾向は大きく変わってはいません。ピアノを学んでいく過程で年代に相応しい課題をマスターすることでしっかりと実力をつけてもらうため、課題曲選定委員が大いに悩みじっくりと話し合いながら、膨大な時間をかけて今年の課題曲を決めています。それはヴァイオリンでもフルートでも同じです。

幼児の部の目新しいところでは第1次予選のステッカー、ホロヴィッツ、ゴードン共作「カントリーダンス」とシュタインベルト「アダージョ」あたりでしょうか。また、第2次予選の「水たまりを歩いたら」を作曲された轟千尋さんが「かなコン」に素敵なエピソードをお持ちであることを知り大変感動しました。同時に轟さんに失望されない様、しっかりと運営しなければと引き締まる思いもします。

小学校低学年の部ではモーツァルト、ブルグミュラー、ギロック、平吉毅州とお馴染みの名前に交ざって第1次予選のアプシル、第2次予選のヴァンハル、本選のベンダと福島道子と初登場?の作曲家が結構多いですね。余談ですが本選で邦人曲を選んだ場合、「中田喜直賞」の対象になります。その点も選曲の理由になりますね。

小学校中学年の部は極めてオーソドックスな選曲が並びました。余り年月が空かずして再び登場した曲や定期的に選ばれている作曲家も見受けられます。第1次予選A群はJ.S.バッハとその他という選曲です。バッハも3曲ともオーソドックスですがテレマン「ファンタジア」もヘンデル「インパーティネンス」(この曲、結構言い辛い!)も王道、といったところでしょうか。B群で邦人曲を選んだ場合本選でも弾くことになるので低学年同様、中田喜直賞」の対象になります。

小学校高学年の部は第1次予選がインヴェンションとロマン派の組み合わせで、B群はメンデルスゾーン・無言歌×2、ショパン×2、シューマン、リストの6択となります。第2次予選もウィーン古典派3人のソナタで、これはしばらく変更されていない中学生の部と高校生の部の第1次予選に繋がって行きます。第2次予選に進まれた人はその先のことを意識して取り組んでください。この3人だけで相当数のピアノソナタがあります。「かなコン」を高校3年まで受けていただけるのであれば、8年間と結構な歳月この3人のソナタとつきあうことになるので、最低誰か1人とは仲良く?(苦手意識を持たないように)しておきましょう。

中学生の部は第2次予選B群が総入れ替えとなるので、ここに左右される人も多いかもしれません。またA群でシンフォニアではなくスカルラッティを選ぶと、ここでも毎回入れ替わっていので注意してください。
高校生は今回ピアノ部門にもエントリー可能です。本選のプログラムをピアノ部門の第1次予選や本選に流用することもできます。また、以前の様にユースピアノ部門終了後に短期間でピアノ部門を行うのではなく、ユースピアノ部門と並行しながら間隔を空けて進めてくので取り組みやすくなっていると思います。1段高いレベルにチャレンジすることは後々のことを考えると良い機会かもしれません。
前回(35回)は10人の高校生がチャレンジし、4人が見事に第2次予選に進出、本選の結果は皆さんよくご存じのことと思いますが、高校生だった山縣美季さんが堂々第1位になられて、ユースピアノ部門の大賞と併せて2冠を達成しました。その後ベートーヴェン国際ピアノコンクール、ピティナ、そして日本音楽コンクールでの活躍は周知の通りです。さあ皆さん、山縣さんに続け!(tsuka)


皆さんの良き目標、山縣美季さん