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「交流の響き2020」神奈川代表の橘和美優さん・インタビュー2020年9月14日

大変な時だからこそ、聴いていただく方々に元気や勇気を与えられる演奏をしたい

9月26日に開催する「交流の響き2020 inかわさき」には全国11の地方新聞社が主催する音楽コンクールの上位入賞者が参加します。今回の神奈川代表は第34回かながわ音楽コンクール・ヴァイオリン部門で準大賞を受賞した橘和美優さんです。tvkの情報番組に出演され生演奏を披露された後にお時間をいただき、「交流の響き」への出演に際してのお気持ちなどを伺いました。

母の影響で始めたヴァイオリン
ヴァイオリンは指導者をしていた母の影響で、1歳の時にはごく自然に触れるなどしていたそうです。もちろん私にはその時の記憶はなく、一番古い記憶は小学校1年生の時です。父は音楽に無縁な人で私のコンクールやコンサートには余り来たりしませんが、稀に聴いた時などは結構辛辣な一言があったりします。でも精神的にも金銭的にも小さい頃から私を支えてくださり、とても感謝しています。

師事している先生はとても厳しい方で「破門!」と何度も言われてきました。とても熱心な先生で、生徒さんが皆さん上手だったので一種のカルチャーショックを受けました。あの先生の教室にいなかったらここまでに成らなかったと思います。レッスンはとても厳しかったのですが、先生の何とか私を上手にしてあげたい!との愛情が常に伝わって来ましたので嫌で辞めたいと思ったことはありませんでした。

本格的に練習し始めたのは小学校4年生からです。それまでは毎日遊んでしましたが、ヴァイオリニストを育てる、青少年の為の育成プロジェクト「エコール.ジェラール.プーレ」を受けることを決めてから真剣にヴァイオリンに打ち込みました。このオーディションの参加規定に「将来プロのヴァイオリニストを目指す人」とありましたので、そこでプロを目指すと母にも宣言しました。中学までは地元の学校に通っていましたが、高校は藝高に通い、回りが日本音コン入賞者など凄い人ばかりで音楽に対する考え方等とても勉強になりました。


準大賞を受賞した第34回大会本選での演奏

今の状況下の中で、想うこと
大学は、当初、全部オンライン授業でした。動画を撮って講評をもらう流れなので同時進行でのレッスンではありません。7月から少しずつ対面ができるようになりましたがフェイスシールドやマスクを着用しながらです。
演奏を録音することは結構大変です。このコロナの影響で動画は1曲を通して送らなければいけないので、ミスの無い様に気をつけながら1曲を弾き切る良い機会にはなりました。また、自分の演奏を聴くことができるので確認しながら進めることもできます。
ただ弾き直しができるオンラインはレッスンだから良い面がありますが、コンサートだと機械の介入で音色が変わってしまうなど生演奏の良さが出ないこともありますし、何よりもお客さんを目の前にして弾く生演奏には代えがたい魅力があります。そういう意味では今回の「交流の響き」に出演にできて、お客様の前で演奏できることがとても嬉しく思っています。

これまでで一番印象に残っていること、そして将来について
今までで印象に残っている曲は、エコール、ジェラール、プーレ先生のオーディションで弾いたシューマンの協奏曲です。オーディションの直前に、大好きだったオレグ・クリサ先生の奥様でピアニストのタチアナ先生が事故で亡くなられた事を聞きました。クリサ先生が来日した時に受けたレッスンなどでタチアナ先生に伴奏をつけて頂いた事もあって、優しいタチアナ先生が大好きだったので大変にショックを受けました。シューマンの協奏曲の悲しい曲調と自分の悲しい気持ちがリンクし、初めて自分の気持ちをヴァイオリンにぶつけるという経験をしました。

好きな作曲はモーツァルトです。理屈や理論よりも自然に流れる様な感性で聴くことができるところが気に入っています。好きなヴァイオリニストはジェラール・プーレ先生で永遠の憧れで唯一無二の存在です。
習いたい先生が海外に居ないことや行きたい国が明確にないので留学願望は今、余りありません。強いて言うならザルツブルクにあるモーツァルテウム芸術大学です。中国で行われた「若い音楽家のためのモーツァルト国際音楽コンクール」に参加した時にファイナルで演奏する時のオーケストラがモーツァルテウムの学生や先生で構成されていて、感覚や音楽の幅が日本の音とは全く違っていて衝撃的な演奏でした。
将来はオーケストラ団員になりたいです。大谷康子先生門下の先輩方はオーケストラに就職される方が多くて刺激になります。


篠崎史紀審査委員長から表彰を受ける

交流の響き出演にあたって
コンクールやコンサートが中止となる中、コロナで大変な時だからこそ聴いている人に元気や勇気を与えられる演奏をしたいです。この演奏会ではチャイコフスキーの「ワルツ・スケルツォ」を弾きます。同じモチーフが少しずつ変化し、華やかな技巧で彩られている所が魅力的で、弾いていても楽しく、聴いて下さるお客様にも楽しんで頂ける曲だと思います。

橘和美優(きつわ・みゆ)
東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校を経て、現在東京藝術大学音楽学部2年在学中。
全日本ジュニアクラシック音楽コンクール、かながわ音楽コンクール、洗足学園ジュニア音楽コンクール、長野国際音楽祭コンクール、ツィゴイネルワイゼンバイオリンコンクールで各(部門)第1位受賞、日本ヴァイオリンコンクール銀賞。全日本学生音楽コンクールで東京大会小学生の部3位・全国大会入選。中学生の部奨励賞・全国大会入選。若い音楽家のためのモーツァルト国際音楽コンクール(中国)で2017年2位受賞、2019年第3回オープニングコンサートにソリストとして招聘。
宮下要、窪田茂夫、窪田壽子、大谷康子各氏に師事。又、ジェラール・プーレ、ピエールアモイヤル各氏に定期的に指導を受ける。