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課題曲が発表されました! ユースピアノ部門編2019年11月20日

皆さん、こんにちは。本日(11月20日)、皆さんが待っていました第36回の課題曲が発表されました!予想どおりだった曲もあれば、予想とは結構違っていたところもあったのではないでしょうか。
今回は全部門で申し込みの際に課題曲を決めるのが第1次予選だけになりました。1択の場合を除いて、第2次予選以降は1つ前の段階で(第2次予選の曲は第1次予選、本選は第2次予選)提出するので、全てを決めて申し込む必要がなくなりました。まずは第1次予選の曲に集中してください。

3部門について1回で全てを書くのは無理なので、今回はユースピアノ部門について言及します。
幼児の部では本選でも新たな曲を弾くことになりました。幼児は本選で他の部のような審査を行わないこともあって第2次予選と同じ曲にしていました。導入して7年目を迎え、実力的にも本選で新たな曲をマスターしていただくことに問題はないでしょうし「岩井宏之賞」も認知されてきたので、新たな曲で多少の緊張感を持って本選の舞台を経験できる貴重な機会になると思います。第1次予選から本選までの14曲の課題曲は定番(バイエル、伝バッハ、モーツァルト)から今風のもの(ギロック、トンプソン、中村佐和子)まで揃っているかと思います。この中で1点注意していただくのは Y8カバレフスキー:小さい歌(第2次予選)です。「小さな歌」という似たタイトルでOp.39-1という別の曲(24の作品集)があります。課題曲はOp.27-2(30のこどもの小品第2曲)、指定楽譜ではないのですが「4期のピアノ名曲集」「カバレフスキー こどものためのピアノ小曲集」(いずれも全音楽譜出版社)を参考に。

小学校低学年・中学年はオーソドックな課題曲が並ぶ中、バスティン、ベルコヴィチ(低学年第1次予選)や後藤丹(中学年第1次予選B)が選ばれています。ここでの注意はY17ベルコヴィチの「ロシア民謡によるバリエーション」。「リトルコスモス」(全音楽譜出版社)と指定楽譜になっていますが、なんと同じ題名で違う曲が「ピアノコスモス3」という楽譜に掲載されています。課題曲は「リトルコスモス」のほうですよ。間違って「ピアノコスモス」の曲を選ばないように!
そしてこの2部門が「中田喜直賞」(本選で邦人曲を弾いた人)の対象となります。低学年は本選で、中学年は第1次予選の課題曲で邦人曲を選ぶことになります。中学年は第1次予選ということもあって割に本選進出者で邦人曲を弾く人が多いですが、低学年は本選で1曲だけリストアップされているので、果たして何人が平吉毅州を選ぶでしょうか?

小学校高学年からはまた本選が時間規定別の自由曲で行います。そこに到達する前に、それぞれの年代でバッハを必ず取り組む(中学生はスカルラッティとの選択)ことになります。インヴェンション、シンフォニア、平均律とどのコンクールでも当たり前のように課題曲になっていて「かなコン」も例外ではありません。そして中学生と高校生の第1次予選は例年どおりの3人の作曲家からのソナタです。「ベートーヴェンが通過しにくい」との都市伝説?がありますが、圧倒的な人数がベートーヴェンで臨むためが故の結果です。評価の基準は他の作曲家と一緒です。このステージで恐らく演奏カットが発生する人が出る可能性があります。時間はお伝えできませんが、長いソナタを選んだ人は切られることを想定しておきながらも練習では最後までマスターしてください。
小学校高学年と中学生の課題にはショパンの「小犬のワルツ」「タランテラ」、グリーグの「ホルベルグ組曲」、ドビュッシーの「アラベスク」などクラシックに精通していない人でも耳馴染みな曲が並んでいます。そして高校生の第2次予選は平均律&エチュード群です。最上級の部であっても「基本はしっかり」という課題曲選定委員のメッセージと受け取ってください。

 予選から本選まで一貫して「自由曲」で参加できるコンクールが人気だと聞いています。中には制限時間なしという夢の様な規定で行っているコンペもあるとか。自由曲でコンクールを受けることが昨今の傾向になりつつあるとはいえ、コンクールを運営している側として明確な課題を提示することでそのコンクールの性格や意義を参加者に知ってもらうことになると考えています。ただ、2度の予選を通過した実力の持ち主には敢えて「自由という選択」をある年齢以上の人には採用しても良いとの判断からユースピアノ部門ではこの形式を採っています。「自由」とは楽な様で実は一番難しい課題なのだということを理解するにはある程度の力量と経験=年齢が必要です。
そして最も大事なこと、それは「背伸びしないこと」です。弾きたい曲と弾ける曲は違う、それは前審査委員長の辛島輝治先生が何度も口にされているアドバイスです。ヴァイオリンの篠崎史紀先生も同様なお考えを言われています。音楽の道を志す若い人たちには偉大な先達からの金言と受け止めてください。次回はヴァイオリンとフルートの課題曲を取り上げます。(tsuka)


第35回ユースピアノ・幼児の部表彰者

第35回ユースピアノ・小学校低、中学年の部表彰者

第35回ユースピアノ・小学校高学年、中学生、高校生の部表彰者