2部門を総括して2019年6月3日

皆さん、こんにちは。
4月28日から5月26日まで5週続けて日曜日はコンクールを行ってきました。その中ではユースピアノとヴァイオリンの本選も行い、1週間で一番忙しい曜日という感覚が身に染みています。ですから何もなく家で過ごした6月2日には、「本当にこんな所でこんなことをしていていいんだろうか?」と不安になりました。すっかり職業病です。今週末の9日は「ピアノ部門」本選があるので、いつもの日曜日に戻ります。(ヤレヤレ??)
ブログのほうも毎週更新とけっこう慌ただしく、結果を中心に駆け足で書いてきたので、この間を使ってユースピアノ部門とヴァイオリン部門をもう一度振り返ってみたいと思います。というか、毎週書く習慣を続けておかないとコンクールが終わって更新がパッタリといういつもの悪いサイクルに陥ってしまう危険性があるので、捻り出してでも書きます!  

ユースピアノ部門
前半の主役は小学校中学年でした。第1次予選で本選レベルと評され、本選常連者が何人も2次予選や本選に進めませんでした。私も他会場の結果を知って「まさか!」と思うことが何度もありました。ある人から課題曲の難しさも指摘されましたが、総じてレベルが高いこともあって「弾ける人と弾けない人」との差が一番出た年代だったのではないでしょうか。この部がユースピアノ部門のボリュームゾーンになっていることは確かですが、上の高学年では最近の風潮となっている中学受験による参加減が激しいこともあり先細りが心配です。
後半の主役を務めた高校生は第1次予選ではあまり評価が高くなく、この段階で絞った感がありました。その効果があったのか第2次予選ではどの会場でも俄然、高評価に転じました。ただ、これまでも第2次が良くても本選でいま一つということがしばしばだったので半ば期待、半ば不安の気持ちで本選に臨みましたが、今回は全くの杞憂に終わりました。見事でした高校生の皆さん。入賞を逃した人の中にも大変良かった人もいただけに、記念コンサートにお声がけしようかと思います。
本選で一番伸びたのが小学校低学年でした。第1次予選の課題曲が易しいとのご意見を伺い小学校中学年の評価がすこぶる高かっただけに、小学校低・中学年を対象とした今回の表彰式で苦戦するかと思っていましたが、最優秀賞(神奈川新聞社社長賞)をはじめ総体的には低学年の方が評価は上でした。
参加人数が少なかった小学校高学年の部と中学生の部は第1次予選から厳しい状況が続きました。中学受験や部活などで難しい時期ではありますがピアノでもヴァイオリンでも一番伸び代がある年代かと思います。ただ、今回本選で弾いた曲が本当に今の自分に合っていたかをもう一度検証してください。弾きたい曲=弾ける曲であったのか、自由曲の怖さはここにあると思います。辛島審査委員長が以前表彰式で「弾きたい曲が弾ける曲だったのか、実は背伸びしていた人が多かったように思う」と評したことがありました。今の高校生はそんな修羅場を何度も経験していて、今回のレベルに到達した人たちです。高学年と中学生の皆さんはもう一度足下を見つめてみる機会を持って欲しいと思います。

ヴァイオリン部門
この部門は一番下(小学校低学年)と一番上(一般)の部が良かった、極端な結果となりました。協奏曲とはいえザイツとブラームスを同じ土俵で比較するのは無理があるとは思いますが、低学年と中学年の皆さんは課題曲をきっちり弾けていたことが高評価になった原因でした。ただ低学年が抜きん出て良かっただけに中学年が少し霞んでしまった感はありました。
小学校高学年と中学生は第2次予選までの高評価が本選では失速しました。特に中学生はこの数年、第2次予選(「ローデのカプリース」)が良くて期待していると本選が…ということが続いています。以前も言及していますが中学生の本選課題曲をもう一度見直す必要があるかもしれません。同じく本選の課題曲では高学年の部(ブルッフの協奏曲)がぐっと難しくなったように聴こえ、可哀想だったかなと思います。本選進出者2人とかなり絞られた高校生の部には一層の奮起を期待したいところです。一般の部ができるまでは高校生からトップコンサート出場者が当たり前のように出ていました。今回一般の部が3人とも良かったことが救いでしたが、高校生の部(中学生も含めて)からのコンチェルトは厳しいと審査員全員の意見でした。
そして一般の部は第1次予選が良かったのですが、続く第2次予選では何とか3人が本選に進めるほどの審査結果になってしまい、本選では全員が再び素晴らしい演奏で高評価を受けました。恐らくトップコンサートには初めて一般の部の人が出場することになりますが、この実績が来年以降、一般の部参加者増に繋がれば嬉しいと思います。
 最後にヴァイオリン部門審査委員長の篠崎史紀先生の著作「ルフトパウゼ」に収められている素晴らしい下りを皆さんへのエールとして紹介します。直接指導を受けたお父様から「短所を直すには時間がかかるので、直すよりも注意することが大事だ。長所は伸ばして行くと、どこまでも伸びて行く。そして長所が短所を包み込んだ時、短所は個性に変わる」と教わったそうです。これは「かなコン」の理念にも通じるもので、篠崎先生が審査委員長を引き受けた理由が「技巧よりも感性」というモットーだったと語っています。「かなコンに参加したら、自分の良いところがもっと良くなった」。そんな人が1人でも増えてもらえると、私の日曜日も有意義に使われたことになります。(tsuka)