一見すると変哲のないナイフとフォークで作ったオブジェ、光を当てると影がバイクの形に―。そんな視覚のトリックを駆使した作品が楽しめる「ユーモアのすすめ 福田繁雄大回顧展」が17日、川崎市中原区の市民ミュージアムで始まった。11月6日まで。
福田繁雄さん(1932~2009年)は日本を代表するグラフィックデザイナーとして活躍。大阪万博(70年)の公式ポスターなどを手掛けたほか、「遊び」を重視したポスターやオブジェ、玩具などを数多く発表してきた。88年に開館した市民ミュージアムの設立にも、準備委員の一人として尽力した。
生涯を振り返る大規模な回顧展は初めて。ことしと来年で全国7カ所を巡る巡回展として企画された。4月の岩手県内での開催が東日本大震災の影響で中止となったため、今回の川崎で開会式を行った。
ポスターなどの平面作品と、オブジェなどの立体作品を約200点ずつ展示。代表作の大阪万博公式ポスターをはじめ、切手を貼り合わせて描いたモナ・リザなど、ユーモアあふれる作品の数々に来館者は感心したように見入っていた。
学芸員の平井直子さんは「違った角度から眺めることによってまた別の物に見える面白さがある。『視覚』の世界を徹底的に遊んだ福田さんの、常識にとらわれない自由な発想を楽しんでほしい」としている。
問い合わせは、市民ミュージアム電話044(754)4500。
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