船内クレーンでつり上げられる牛やバナナ―。活気あふれる戦後復興期以降の横浜港を写した大量の写真が、横浜市中区の山下ふ頭にある事務所で見つかった。撮影したのは港湾労働者。同僚たちの荷役作業の様子を中心に写したもので、いずれも未発表という。
さまざまな形をした貨物船やはしけでの荷役作業の様子は、ポケットサイズのカメラや蛇腹カメラなどで撮影したという。撮影者の男性(73)によると、「バナナは半冷凍で南米から運ばれ、冬眠中のヘビが紛れこんでいたことがあった」とのエピソードも。
当時の写真を初めて見た京浜船貨整備(横浜市中区)社長の木村劭(つとむ)さん(71)は「若いころは夏場は水と塩を口に含んで働き、熱中症知らずだった。大きな網状の雑貨畚(もっこ)を使うなど、荷役の様子が丁寧に撮影されていて懐かしい」と話す。
折しも、1963(昭和38)年の横浜港を舞台にしたスタジオジブリの新作「コクリコ坂から」の公開が始まったばかり。昭和期の横浜港に関心が高まる中、撮影者は将来、写真集にして公表するという。
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