
県内21のアマチュア劇団が参加し、50年以上の歴史を持つ県演劇連盟が、22日から3週にわたり、神奈川芸術劇場(KAAT、横浜市中区)の誕生を記念した合同公演やイベントを展開する。大迫力の作品や、親子で楽しめる芝居などを通じ、舞台芸術が身近にある喜びを示す。それはまた「演劇の力」を再確認しようという試みでもある。
目玉は、総勢70人が出演する演劇「黒船がやってきた」。横須賀市の猿島を舞台に、伝説の白い猿と女子高生が黒船来航に巻き込まれる物語。作演出を手がける同連盟理事長の横田和弘さんにとって、新劇場への期待は大きい。「演劇専門の劇場は、僕らが長いこと目指していたもの。地域にとって大きな存在だ」
一方、本作は芝居の意味を問い直す機会ともなった。稽古中に見舞われた東日本大震災。「70人が顔を合わせ、公演すべきか、やめるべきかを話し合った」と横田さんは振り返る。なぜ演じるのか―という根源的な問いに、こう結論した。「おにぎり一つと一人のほほ笑み。どちらが大事かは言えない。それなら、その片方は私たちが守る」
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1週目(22~24日)は、県西部で活動する劇団による「八月のシャハラザード」。小田原の劇団こゆるぎ座、平塚の劇団きさく座などが参加する。前売り1500円。23日には小田原、平塚両駅からの観劇バスツアー(3千円)も。
2週目(29日~5月1日)は親子向けの「あそびば」。3日間で9公演の芝居や朗読劇、大道芸などを披露。いずれも30分から1時間程度の短いもので、気軽に楽しめる。1日券千円。「黒船がやってきた」は5月7、8の両日、2500円。問い合わせは、チケットかながわ電話045(662)8866。
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