国登録有形文化財・二ケ領用水久地円筒分水(川崎市高津区)の竣工(しゅんこう)70周年を記念した「第1回全国円筒分水サミット」が22日、同区内の高津市民館で開かれた。群馬、大分県など各地の円筒分水管理者ら約400人が参加し、地域の財産としての魅力や活用法など探った。サミット実行委員会と同区の主催。
円筒分水は農業用水などを一定の割合で分配する装置で、全国に100以上あると言われている。久地円筒分水は1941年、水の利用をめぐる争いが絶えなかったため、灌漑(かんがい)面積に応じて四つの掘へ正確に水を提供するように作られた。
円筒分水研究家の金山明広さんが「円筒分水の魅力」と題して基調講演。14年から25年にかけて実施された岐阜県多治見市の耕地整理事業で第1号が築造された歴史や、考案された背景など説明した。
直径31・5メートルと最大規模の「奥州伊達家の徳水園」など全国の魅力的な円筒分水も紹介し、「見た目にもきれいで、同じものは一つとしてない」と熱く語った。
このほか、群馬県高崎市と大分県竹田市の円筒分水も、それぞれの管理者が歴史などを解説。吉田威一郎サミット実行委員長は、地元の久地円筒分水について「サイホンの原理を利用している」「70周年を記念して模型を制作した」といった特色や活動などを挙げた。
また、船橋兵悟・高津区長や金山さんらが参加したパネルディスカッション「水との共生」も開かれた。会場には神奈川新聞川崎版で連載中の「川崎を育んだ水」をPRするブースも設けられた。
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