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鉄道コラム前照灯(208) さよなら、ブルートレインの時代

神奈川新聞 | 2014年12月12日(金) 12:00

横浜駅に到着する寝台特急「富士」=2009年撮影
横浜駅に到着する寝台特急「富士」=2009年撮影

ブルートレインが走り始めたころ、その車内は社会の縮図といわれた。上等な個室寝台があり、3段ベッドもあり、リクライニングする椅子も、しない硬い座席もあった。食堂車はサロンだ。多様な境遇の人々が、それぞれ、それなりに一夜を過ごした。選択肢がいくつもあった

▼上野と札幌を結ぶ最後のブルートレイン「北斗星」が来春、廃止される。もとより、今の「北斗星」の車内に社会の縮図などない。時間とお金に多少なりとも余裕があり、しかも鉄道に興味のある人ばかりが乗るようになって久しい

▼それでも、乗ること自体が目的となる「北斗星」のような列車の存在は、頼もしく思えた。移動の手段と目的が転倒するとき、ちょっと大げさにいえば「文化」が生じ、社会は豊かになる。そう信じられた。でも、どうもそうなっていない

▼鉄道で遠くへ行くには新幹線に乗らざるを得ない。夜汽車の情緒を味わいたければ、JR九州の「ななつ星」のようなクルーズトレインに何十万のお金を出すしかない。巧妙なマーケティングの結果、汽車旅というひそかな楽しみも商品化された

▼かくして一つの列車に集まり得た多様な〝世間〟はバラバラになり、一望できなくなった。ブルートレインの豊かな時代は、遠くへ走り去った。(さ)

【神奈川新聞】

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