江戸時代から観光地として栄えた江の島(藤沢市)の土産物を紹介する企画展が、JR藤沢駅北口に隣接する藤沢市民ギャラリーで開かれている。貝殻を使った加工品「貝細工」を中心に、明治時代以降の676点を展示。8月24日まで。
市が収蔵品展として企画した。市は約20年前に江の島の民俗調査を行い、郷土誌を編さん。その際に土産物の歴史も取りまとめ、各店に残されていた歴代の土産物を郷土資料として有償・無償で収集した。
企画展は収集時以来2回目。今回の展示では土産物を五つの時代ごとに並べて解説している。
江の島土産の代表格と言えば貝細工だ。古くは江の島周辺の家庭で内職として作られていたが、接着剤や加工技術の発展に伴い次第に産業として定着。昭和40年代に全盛期を迎え、欧米やオーストラリアなどにも輸出されていたという。
また、1952年に男性彫刻作家が木彫りの皿を売り込みに江の島を訪れたのがきっかけで始まった「相模彫」の歴史も紹介。販売元の土産物店が江島神社にさい銭箱を奉納するほど評判となったが、弟子が育たず作家が亡くなると途絶えてしまった。
このほか、修学旅行生に人気のキーホルダーやペナント、ちょうちんなど今でも売られている品々も集めた。市郷土歴史課は「誰もが一度は見たことのある、なじみの作品が多いです」と来場を呼び掛けている。
入場無料で、午前10時から午後7時(日曜日は同5時)まで。月曜日休館。
【神奈川新聞】