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“大往生”ツガル描く 日本画家が21日から横浜で個展

神奈川新聞 | 2014年7月3日(木) 03:00

21日から「ツガル」を題材にした作品だけで個展を開く日本画家の勝山さん。アトリエには、大小さまざまな「ツガル」が並ぶ
21日から「ツガル」を題材にした作品だけで個展を開く日本画家の勝山さん。アトリエには、大小さまざまな「ツガル」が並ぶ

人間でいえば120歳という世界最高齢で“大往生”した横浜市立野毛山動物園のフタコブラクダ「ツガル」(雌、推定38歳)。その姿を描いた日本画家、勝山治実さん(51)=戸塚区=の個展が21日から、同市中区翁町の「画廊 楽Ⅱ」で開かれる。勝山さんは「図らずも追悼展となってしまったが、日々生き続けたツガルさんのありのままの姿を感じてほしい」と話している。

生き物が好きで、これまでも小田原城址公園(小田原市)のゾウの「ウメ子」などを題材にしてきた勝山さんがツガルを本格的に描き始めたのは、約3年前。「“生”のありのままの姿がある」と、高校での授業や主宰する絵画教室の合間を縫って野毛山に足を運んだ。

ゆがんだ口元。あごを伝うよだれ。黄ばんだ歯。そして優しいまなざし-。100号(162センチ×130センチ)のキャンバスからはみ出んばかりに描かれたツガルの顔からは、残酷なほど「老い」が伝わってくる一方、不思議と「生命力」を感じさせる。

「年を取り、一見すると寝たきりだが、肉体の衰えとは反対に強い精神性と気高さを増大させているように思えた。『生きる』という生物として最も単純にして最も神聖な行為を日々繰り返すツガルさんに、崇高さを感じた」

勝山さんがこれまでに描いたツガルは大小合わせて20枚ほど。動物画というよりも肖像画として描いたため、多くが顔のアップだ。ラクダの顔を正面から捉えた構図は珍しいためか、絵を見てもラクダと気付かない人もいるという。

ツガルが死ぬ3日前にも、スケッチのために同園を訪れていた勝山さん。突然の訃報を「ショックでした。高齢なのでいつかは、と思っていたが」と振り返り、「しばらくはツガルさんを描き続けたい。顔だけでなく、全身の絵にも挑戦していく。個展にも多くの人に足を運んでもらい、ツガルさんの元気な姿を焼き付けてもらえればうれしい」と話した。

「勝山治実展-ツガルさんづくし-」は午前11時から午後6時までで、最終日の27日は午後4時まで。

【神奈川新聞】

 
 

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