サッカーの第94回天皇杯全日本選手権の県代表決定戦を兼ねた第19回県選手権決勝が29日、ニッパツ三ツ沢球技場で行われ、YSCC(J3)が2-0で神奈川大(関東大学2部リーグ)を破って2年ぶり6度目の優勝を果たした。
YSCCはFW松田康佑が2得点の活躍。粘り強い守備で無失点に封じた。神大は決定力不足に泣いた。
この日で北海道と群馬県を除く45代表が決定。天皇杯は7月5日に開幕し、YSCCは7月6日の天皇杯1回戦で広島県代表のSRC広島と対戦する。
前回覇者の横浜M、川崎のJ1勢は同12日、湘南、横浜FCのJ2勢は同13日の2回戦から登場する。決勝は東京・国立競技場が改築工事に入るため、12月13日に横浜市の日産スタジアムで行われる。
◆Jクラブの誇り示す
「最下位だからといって、なめられたくなかった」。2得点のFW松田がそう言えば、主将のMF吉田は「Jという名が付いたからには、負けるわけにはいかなかった」。リーグで最下位に沈んでいるYSCCが2年ぶりに頂点を奪い、J3クラブの誇りを示した。
圧倒的な強さとは言い難い。それでも吉田の言う強い覚悟がゲームにはにじみ出ていた。ハードワークをいとわず、準決勝でJ3相模原を4-0で破った神大の勢いをしたたかに消しにいく。序盤は我慢の時間帯と割り切り、全員が球際で激しく寄せた。
労を惜しまなかったチームは徐々にペースをつかみだす。前半40分。右サイドをドリブル突破したMF三田のクロスを松田が頭で合わせて先制。後半36分にも松田が抜け出し、勝負を決定づける追加点を決めた。在籍6年目の点取り屋は「こんなに疲れるかと言うぐらい走った。良い守備が良い攻撃につながった」とうなずいた。
J3では2勝5分け10敗で最下位。6月10日には仲間の一人が重傷ひき逃げ事件を起こした。逆風の中、有馬賢二監督(41)は「被害者の方を含め、いろんな人に迷惑を掛けた。自分たちはサッカーができる喜び、感謝をプレーで見せないといけない」と神妙な面持ちで語った。クラブの存在意義を示し、信頼を取り戻す戦いはこれからも続く。
【神奈川新聞】