綾瀬市の弱視と知的障害のある男性が5月11日、初のソロコンサートを同市深谷の市文化会館小ホールで開く。25年続けてきた趣味のピアノを披露し、これまで支えてくれた地域の人に楽しんでもらいたいと考えた。本番へ向け、練習に熱が入っている。
男性は高橋秀樹さん(35)。県立藤沢養護学校高等部を卒業後、市内の知的障害者支援施設「綾瀬ホーム」に通い、シーツを畳む作業をしている。
ピアノを始めたのは10歳の時。5歳下の妹が通っていた教室の先生に誘われたのがきっかけだった。先生を代えながら練習を続け、ここ8年間は市内の内村由生子さん(63)の教室に週1回通う。
「決して上手ではないが、テレビやCDで一回聞いただけで、メロディーを覚えてしまうのは本当にすごい」と内村さん。クラシックやポップス、演歌からアニメの主題歌、高校野球の応援歌まで、気に入ると自宅で弾き、歌う。施設では合唱の伴奏をしたり、イベントで弾いたりと活躍。佐竹泰三施設長(41)は「明るく、ムードメーカー的な存在」と話す。
コンサートは午後2時から。母親の和子さんは「これまでお世話になった地域の人に感謝の気持ちを示したかった」と話す。「野に咲く花のように」、「北国の春」、「花は咲く」など14曲を予定する。高橋さんは「緊張している。応援してくれる人のために、心を込めて弾きたい」と意気込んでいる。
定員300人で入場無料。問い合わせは、和子さん電話0467(77)9918。
【神奈川新聞】