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鉄道コラム前照灯(184) 最終列車と痛みの記憶

神奈川新聞 | 2014年3月21日(金) 12:00

どこで見送ろうかと思案していたが、思い立って秋田、青森まで行くことにした。14日夜の出発を最後に廃止された上野―青森間の寝台特急「あけぼの」のことだ。駅はきっと大勢の人出だろう。少し離れた高い所で一人静かに眺めようと思う

▼薄暮の温泉町の駅で降り、奥羽線を見渡せる丘を目指す。だいぶ雪も解けたろうと思って来たら、案に相違して吹雪いてきた。そこを上野行き最終「あけぼの」が光の帯のように通り過ぎる。夜汽車には雪が似合う

▼「お客さん、あけぼのですか。ラストランだもんねえ、寂しいねえ」。その晩泊まった駅前旅館で、おかみさんに看破された。照れくさいけれど、地元の人の「寂しい」を聞けてうれしいとも思う

▼翌朝、青森行き最終を撮影するために訪れた場所は、前日より雪深かった。慎重に歩いても吹きだまりで腰まで沈む。雪の下に埋もれた低木の枝や幹が、すねや太ももや腕にぶつかる。ひっくり返りながら斜面をよじ登ると、ようやく線路が見えた。だから、最後の「あけぼの」は痛みの記憶とともにある

▼それはそうと、来るときは不本意ながら新幹線に乗った。夜行列車を撮影するのに癪だ。せいぜい帰りは寝台車でゆっくり…と思ったが、もうそんな列車はないのだった。(さ)

【神奈川新聞】

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