世界に誇る日本の古典芸能に親しんで-。伊勢原市の大山地域で毎年秋に開かれている「火祭(ひまつり)薪能(たきぎのう)」の歴史や魅力を紹介する講座が19日、大山公民館で行われた。能や狂言の基礎知識から舞台裏まで、能楽師らが繰り広げる話に参加者約60人が聞き入った。
能楽師で観世流シテ方の武田友志(ともゆき)さんが「能・狂言の魅力」をテーマに講演。「能と狂言は夫婦のような関係。能に比べて狂言は生活に根付いていて現代劇に近い」と解説した。
また「『言葉遣いが難しくて意味が分からない』という人もいるけれど、美術館やクラシック音楽のコンサートで“美”を感じるような気持ちで楽しんでほしい」とも。会場内を回って能面を一人一人の顔にかぶせたり、独特の発声を実演してみせたりして参加者を楽しませていた。
武田さんの講演に先立ち、大山阿夫利神社の目黒仁宮司も登壇。「大山で能・狂言が演じられるようになった歴史」と題し、江戸時代の元禄期に大山能が始まり、一時期途絶えたものの1981年に再興した経緯などを紹介した。
再興して33回目となる今年の火祭薪能は10月8、9の両日、同神社社務局の能楽殿で開催される。「人間国宝」に昨年認定された狂言師・山本東次郎さんや、観世流二十六世宗家の観世清和さんらが出演する。観覧(有料指定席)の問い合わせは実行委員会電話0463(95)2006。
【】