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食べるで変える。地銀が踏み出す、小さな一歩の大きな夢

神奈川新聞 | 2019年9月15日(日) 23:59


 コンコルディア・フィナンシャルグループが、傘下の横浜銀行の社員食堂で、乱獲や環境破壊につながる漁法によらない水産物「サステナブル・シーフード(持続可能な水産物)」のメニューを、国内の銀行で初めて採り入れました。

 1食につき20円を開発途上国の学校給食に寄付する「テーブル・フォー・ツー」にも賛同する、社食を通じた一連の試みは、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、一つずつできることをやっていこうという思いの表れです。

「想像以上においしい」


笑顔で配膳を受ける行員ら

 8月24日に横浜銀行本店で行われたサステナブル・シーフードの試食会を兼ねたセミナーには、休日にも関わらず50人近い行員が集まりました。提供されたのは、「エビと卵のチリソース」「白身魚のチーズパン粉焼き」「サバの塩焼き」の3つです。

 メニューを用意したのは、同銀行が社食の運営を委託するフードサービス企業の「グリーンハウス」です。同社は豊かな海を次代へつないでいくサステナブル・シーフードの理念に共感し、その認証手続きなどを請け負っています。

 サステナブル・シーフードとは、天然であれば乱獲や違法漁業ではなく適正な資源管理の下に獲られたもので、養殖は環境に配慮した方法で育てられたものです。グリーンハウスの米今和也さんが、素材の背景を説明します。


サステナブル・シーフードを使ったメニューに関して説明をするグリーンハウスの米今さん

 「エビと白身魚はベトナム産の養殖です。バナメイエビは養殖場付近の森林の枯渇や水質の変化に配慮して生産されております。白身魚はパンガシウスという魚で、魚粉など動物性の餌100%ではなく、餌の配合の大部分を植物性タンパク質で補えるため、他の水産物への影響が少ないのが特徴です」

 セミナーに参加した三浦千明さんは、サステナブル・シーフードを食べるのが初めてでした。「普通のものとどこが違うのかと思いましたが、想像した以上に素材そのものの味がおいしかった。それぞれの素材の背景を知ると、食べることで少し社会貢献している気持ちになれた」と笑顔です。

 8月27日から順次、社食のメニューとして展開されています。

SDGsで地域をつなげていく


試食会の前には、SDGsに関しての勉強会も行われた

 横浜銀行はサステナブル・シーフードの取り組みと軌を一にして、「テーブル・フォー・ツー」という1食につき20円を開発途上国の学校給食に寄付する活動にも参画しました。

 社食を通じた一連の動きは、2015年に国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)の達成を念頭に置いたものです。SDGsは社会、環境、経済、ガバナンス(統治)に大別され、さらに17の目標、169の具体的なターゲットが定められています。

 コンコルディア・フィナンシャルグループは地域に根ざす金融機関としてSDGsの達成を目指し、地域社会の持続的な成長、キャッシュレス社会の実現、金融教育、スポーツ・文化支援、環境ビジネス支援などに取り組んできました。


熱心に聞き入る参加者ら

 「ただ、私たちやお客様の仕事とSDGsがどう結びつくのかを悩んでいる人は多いと思います」

 セミナーの前半に行われたSDGsについての講義で、横浜銀行の担当者はこう切り出しました。

 「特に中小企業の認知度は低いです。関東経済産業局が2018年12月に行った調査では、SDGsについて『全く知らない』と答えた中小企業は84%に上りました。地元銀行として、お客様の企業活動がSDGsのどの目標や分野に寄与するのかを共有するのかもとても大事です」

「他人ごと」を「自分ごと」に変えていく


川崎市の大島支店で支店長を務める渡辺さん(中央)

 横浜銀行大島支店の渡辺晋作支店長は、そんな課題を肌で感じ、セミナーに参加しました。

 「支店長はスーツにSDGsのバッジを付けているのですが、地元企業のお客様ほぼ全員から『それ何のマークですか』と聞かれます。表面的な説明はできるのですが、もう少し具体的に自分ごととして説明できるようになりたかった。お客様の事業が自然とSDGsへの貢献となっている場合もありますが、それを認識してもらえたら活動も深化していくはずです」

 SDGsはボランティア活動ではありません。17の目標に「経済成長」や「産業と技術革新の基盤」が入っているように、それぞれの企業や事業者が本業を通して達成に寄与していくものです。


「銀行としての本業そのものがSDGsの実践となる」と聞くと、参加者の表情もグッと引き締まった

 地域経済をつなぐハブであり街づくりを下支えする地銀だからこそ、その意義や価値を語り、広げていく役割を担いたい―。その使命感は、SDGsを「他人ごと」から「自分ごと」へと変えていく地道な努力によって体現されていきます。

 渡辺支店長はこう続けます。「私の父は日本食の板前でした。イワシやサンマなど、身近な魚がどんどん減っていることもずっと聞かされていました。和食がユネスコの無形文化遺産となりましたが、そういう日本だからこそサステナブル・シーフードを選び、その文化を定着させていくことが大事なのではと思う」

 私たちの何気ない一食が、小さくとも確実に未来を変えていくのだという予感と期待を、会場の誰もが共有したはずです。

「一人エコ活動」で一歩を


メニュー開発の会議で積極的に発言する俳優の水野さん(右端)

 今回のメニュー開発には、横浜銀行のイメージキャラクターを20年以上務めている俳優の水野真紀さんが、アドバイザーとして参加しました。調理師免許を持つほどの腕前で、料理本も数冊出している水野さんは、今回の取り組みを「一人エコ活動」というキーワードを使ってかみ砕いて説明してくれます。

 「例えば一番身近なのはゴミです。特に今はプラスチックによる海洋汚染が深刻な問題となっていますよね。スーパーで買い物してもなるべく袋はもらわない。お土産も最低限の包装で渡します。『私一人エコ活動してますから』と言って。一人一人の行動が変われば、それが家庭や子ども、地元に伝わっていく。その循環で、社会が徐々に変わっていくと思います」


サステナブル・シーフードの取り組みは社食から、SDGsは行員一人一人、地域の方一人一人から始まっていく

 コンコルディア・フィナンシャルグループという企業が掲げる「SDGsの達成」という大きな目標も、その実現は地元企業や地域に息づく人たちと積み重ねていく一歩一歩が鍵となります。

 水野さんはこう強調します。

 「地銀の雄である横浜銀行がSDGsという壮大な取り組みを、地域と一緒になって小さくてもできることからやろうとしている。そこから広がっていくものは、決して小さくないと思います」

 セミナーに参加した行員のアンケートにはこんな記述がありました。

 「『国連が推進するSDGs』という言葉だけを聞くと、家庭や自分の仕事とは何だか遠いことのように思っていました。だから『やった方がいいのはわかるけど…』で止まっていました。社食やスーパーでサステナブル・シーフードを選ぶなら誰だってできるし、お客様を含め次に会った人に『それだって立派なSDGsの実践です』とはっきり言える。これをきっかけに、自分の仕事をSDGsにどうつなげていけるか、接する方々の業態やライフスタイルをどう結び付けていけるかを考えるのが楽しみになりました」

 SDGsのゴールは2030年です。コンコルディア・フィナンシャルグループの取り組みも、まだまだ始まったばかりです。

 コンコルディア・グループが進めるSDGsの具体的内容ついては、こちらを参考ください。

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