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鉄道コラム前照灯(52) カニ族って何ですか

神奈川新聞 | 2010年10月15日(金) 00:00

北海道を初めて旅したのは15歳の夏。大きなリュックを背負った「カニ族」に混じって、高校の同級生3人と夜行列車をひたすら乗り継いだ。金はなく、体力は底なしにあった。周遊券を握りしめていれば、それでよし。「大雪」「利尻」「すずらん」「狩勝」…。宿を定めず、夜行急行列車の通路で毎日寝起きした

▼車内はいつも混み合っていて、ボックス席に座ることはめったにない。それがまた、心地よかったのか(どうか)。1970年初頭のことだから、ウッドストック風とか、ヒッピーっぽいとか、そういう空気を気取っていたのか。自分のことながら、もうわからない

▼目的地の一つは、宗谷本線の「抜海」(ばっかい)だった。原野の果てに水平線が広がる、荒涼の極みをこの目で見たいと思った。現実の抜海は、クマ笹に覆われた先に、黒っぽい日本海がよそよそしく横たわり、絵葉書きにある利尻富士の影も形もない。ある意味、想像通りの抜海

▼急行「宗谷」が稚内に着けば、駅前食堂でカツ丼をかきこみ、宿代わりの夜行列車に飛び乗って、再び南へ折り返す

▼こんな話を書き始めたのも、久しぶりに「カニ族」という言葉に出合ったからだ。狭い車内で、大きなリュックがぶつからないようカニのように横歩きするから「カニ族」(後ろ姿がカニに似ているとも)。一世代下の人間に話したら、「なんですかそれ」「どこかの方言ですか」。冷たく切り返された。(S)

(2010年10月15日)

【神奈川新聞】

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