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鉄道コラム前照灯(34) 38年ぶりの”秘境駅”

神奈川新聞 | 2010年6月11日(金) 00:00

「秘境駅」が静かなブームだ。少年時代から鉄道ファンの牛山隆信さんが名付けた。過疎で利用者が少なく、「忘れ去られた」雰囲気のある駅のこと。牛山さんは全国を10年以上訪ね歩いている。蒸気機関車を追った「撮り鉄」にはなじみの駅が多い。撮影旅行の拠点だった。30~40年を経ても生き残り、新たなファンを獲得しているのはうれしい

▼牛山さんらの写真集「秘境駅」(メディアファクトリー)は、北海道・宗谷本線の抜海駅を紹介した。大正13年開業、泥炭地の原野のど真ん中にある。風雪に耐えた木造駅舎が美しい。隣の南稚内に向かえば日本海にそびえる利尻富士を望む絶好の撮影ポイントがある

▼何度か訪れたはず、と思った。職場から帰宅した深夜、秘蔵のモノクロネガフィルムを捜索。1972年3月22日と記したネガがあった。抜海駅の場面はないが、残雪の中で客車を引くC55(おそらく)の姿を見つけた

▼吹き付ける寒風の記憶はある。だが、蒸気機関車の型式すら忘れた自分を恥じた。「撮り鉄」は数十年ですっかりさびついた

▼抜海駅のネガを探しながら気づいた。薬品用の大きな缶を再利用した保存容器には150本ほどのネガがあることに。牛山さんに触発された。自分の宝物をきちんと生かしたい。(O)

(2010年6月11日)

【神奈川新聞】

 
 

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