「直木賞」で知られる作家・直木三十五(本名植村宗一、1891~1934)をしのぶ法要「南国忌」が21日、横浜市金沢区富岡東の長昌寺で営まれた。「南国忌の会」(阿刀田高会長)の主催で28回目。故人を慕う文学関係者やファンら約160人が訪れ、墓前で冥福を祈った。
「南国忌」は、直木の代表作「南国太平記」にちなみ、五十回忌翌年の83年から毎年行われている。直木は亡くなる前年から、結核療養のため同寺の近くで過ごしており、没後はこの寺に埋葬された。
この日は、石沢彰文住職の法要に引き続き、本堂にこのほど設置された「直木賞作家一覧木製額」がお披露目された。畳一畳ほどの大きさの額には歴代受賞作家計169人の名前がずらりと並んでいる。
参列者は、第41回直木賞作家・平岩弓枝さんの講演に耳を傾けた後、直木が眠る墓に。たくさんの花が手向けられた墓石前で、線香をあげて静かに手を合わせた。
木製額を発案、設置した石沢住職は「直木賞が続く限り受賞者の功績を伝えていきたい」。同市戸塚区の男性(70)は「死後70年以上過ぎても多くの人に慕われている。これからも毎年訪れたい」と話していた。
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