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鉄道コラム前照灯(19) 消えた北海道の鉄路

神奈川新聞 | 2010年2月19日(金) 00:00

こんなに消えたのか。あらためて衝撃を受けた。北海道でローカル線の多くが廃線になった。JTB冬のお勧め旅行パンフレットの地図を手にして思った。人でいえば動脈だけ残し毛細血管はすべて切除されたようなものだ。栄養が土地の隅々まで届かないのでは、と心配になる

▼大好きだった天北(てんぽく)線は跡形もない。宗谷本線の音威子府(おといねっぷ)から南稚内までオホーツク海沿いのルートを走った。荒涼とした泥炭地の大地を行く蒸気機関車は絵になった。浜頓別(はまとんべつ)駅前のパチンコ屋はどうなったのか。1個ずつ玉を穴に入れるレトロ感はほかにはなかった

▼根室本線池田と石北本線北見を結ぶ池北(ちほく)線。なだらかな傾斜の山々が大陸的な風景を醸し出した。途中駅足寄(あしょろ)出身の松山千春は泣いているのだろうか

▼釧網本線標茶(しべちゃ)から国後を望む根室標津(しべつ)まで丘陵を抜ける標津線も秀逸だった。雪の原生林を小型のC11が駆けた。どこまでも続く直線の鉄路。広大な雪原を行く蒸気機関車を記録しておいてよかった

▼採算に合わずバス路線に転換した。地元の人たちは悲しんだ。鉄道は外の世界とつながる心の支えだった。多くが集う駅は地域コミュニティーの中心にもなった。それが消えたまち。いまどんな寒々とした光景があるのか。また訪ねてみよう。(O)

(2010年2月19日)

【神奈川新聞】

 
 

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