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横浜・寿町の識字学校を描いた演劇、アマチュア集団が上演/横須賀

神奈川新聞 | 2009年7月29日(水) 00:00

横浜市中区寿町にあった識字学校を舞台とする演劇「識字の詩(うた)が聞こえる~ふくろうが鳴くとき」が8月22、23の両日、横須賀市内で上演される。演じるのは同市を拠点とする「演劇集団THE素倶楽夢(すくらむ)」だ。世界的金融危機、派遣切り、貧困や差別問題…。代表の石渡アキラさん=三浦市、(61)=は、寿町にこそ現代の世相が集約されているとの思いで脚本を書いた。28年間にわたり識字学校を主宰、昨年死去した大沢敏郎さんへの追憶の意味も込められている。

「文字のよみかきのできなかったときは女の人おすきになってはいけないとおもってました こころがさみしくてしかたなかった」―。かつて寿識字学校に在籍した男性の1人は、そう記したという。1980年に創設者から学校を引き継いだ大沢さん。さまざまな事情で通学できなかった日雇い労働者や在日コリアンらに対し文字を教えるだけでなく、生きることの意味をも問い続けた。

そんな大沢さんと石渡さんが接点を持ったのは20年以上も前。元・社会科教諭の石渡さんは社会の底辺で生きる人やそうした人たちを支える大沢さんに共感、今回の脚本を完成させた。自身が書くのは「おそらくこれが最後」と話す。

副代表のYOSHIMIさんも元・中学校教員。大沢さんの実践を知り、驚くことが多かったという。例えば、「おかあさん」を「おかさん」と書いたら「あ」をつけるよう指導するのが学校教育。しかし、「おかさん」という表現の中に筆者の感情を読み取った大沢さんは、直すことはしなかった。

「中学校では不登校や学習障害の生徒にそれなりの手だてをしつつ、結果的にそのまま卒業させていた。(識字学校へ集う人々に)生徒らの行く末を見る思いがした。同時に学校教育への問題提起と感じた」

重いテーマの一方、字が読めるようになったことで自信をつけ恋心を抱いた男性を描くなど、「笑いと涙と感動のストーリー」とYOSHIMIさん。石渡さんは「脚本は実在する複数の人物を投影させて書いた。せりふの奥にある生きざまを多くの人に感じとってもらいたい」。売上金の一部は「寿支援者交流会」に寄付する予定だ。

会場は同市深田台の市青少年会館。開演は22日が午後2時と6時。23日は午後2時のみ。チケットは1500円。60歳以上と障害者は1千円。字幕あり。問い合わせは石渡さん電話090(4944)6856。

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