戦後の混乱期に若者らが集い、多くの人材を輩出した「鎌倉アカデミア」。その学長を務めた哲学者の三枝博音(さいぐさ・ひろと)の胸像が、26日に鎌倉市材木座の光明寺で開かれる「鎌倉アカデミアを伝える会」で初めて公開されることとなった。卒業生で映画監督の岩内克己さんが手掛け、市内の三枝家に保存されていたという。
鎌倉アカデミアは1946年、鎌倉の文化人らが中心となり開校。経済的な事情から4年半で廃校となったが、作家の山口瞳、作曲家のいずみたく、放送タレントの前田武彦らを輩出した。
作家の高見順、歌人の吉野秀雄らとともに教壇に立った三枝博音。戦前に唯物論研究会を創立し、戦後には横浜市立大学の学長も務めたが、63年に国鉄鶴見事故で死去した。
胸像は高さ約45センチの石こう製。映画「エレキの若大将」などで知られる卒業生の映画監督、岩内さんが手掛けたものという。市内の三枝家にあったものが今春、市中央図書館に移されたという。
胸像は26日の会で披露される予定。主催する同会(加藤茂雄代表)は「五十回忌となる年に公開することになった。より多くの人が鎌倉アカデミアを再認識するきっかけになれば」と期待している。
会では、卒業生やゆかりの人たちによるスピーチや座談会が行われ、鎌倉アカデミアの歴史を語り継ぐ。午後1時からで、資料代千円。
問い合わせは同会小泉親昂さん電話090(3007)9025。
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