心をつなぐ共同絵画
「しゃべらなくても分かり合えた」
「全然協力できなかった」。キャンプを控えた5年生の学級活動は、前日のカレー調理実習の振り返りから始まった。
この日は1枚の絵を「無言で」完成させる共同絵画を行うことに。普段とは違うコミュニケーションで、キャンプに向けて班のメンバーシップを高めるのが狙いだ。
活動が始まると、立ってジェスチャーをしながら皆で同時に進める班、座ったまま1人ずつ順番に描いていく班、黒板前であれこれ指をさして無言会議から始める班、と取り組み方は各班で異なる。「大事なのは絵を描く方法ではなく、狙いを達成すること」と先生が言うように、そのやり方は全て児童に委ねられている。
うまく気持ちが伝わらず苦戦している班、思わず声が出てしまい互いに優しく注意し合う班、気持ちが伝わって小さく拍手している班など、無言で絵を描いていく活動を通して児童同士の関係が深まっていく。
絵が完成して班で感想を伝え合った後、「答えのないことをやるときのノート」にそれぞれ自分の思いを書き留める。
「うまくできるか心配だった」「しゃべらなくても分かり合えた」「何とも言えない気持ちになった」「もっとチームワークのある班にしたい」と、児童が感じたことはさまざまだ。
「思い通りの部分もあったし、そうじゃない部分もあったんだね」と話す先生は、活動がうまくいったかいかなかったかという一つの「物差し」でこの活動の成果を捉えていない。
だから、児童は「うまくいかないことがあってもいいんだ」と感じられ、次につなげることができる。
キャンプ当日は、それぞれの班が夕食のカレー作りを楽しめそうだ。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート