地域が見守り田作り
作業のこつつかみ広がる歓声と笑顔
「思い切って入ってみよう」「うわっ、冷たい」「冷たいけれど、気持ちいい」「こっちは土が柔らかいよ」「ここには、大きなタニシがいるよ」
5月、子どもたちが田んぼの中で、にぎやかに語り合っている。
稲村ケ崎小学校から徒歩数分の住宅地。「稲小こども園」と呼ばれる田んぼだ。地域、保護者、学校が一緒になって大切にしてきた場所である。
5年生が、総合的な学習の時間に、毎年この場所で田作りからの稲作に取り組んでいる。
子どもたちは、地域の人と一緒に、田んぼに足を踏み入れて土をかき混ぜていく。苗を植える前に水を入れ、土を砕いて平らにする「代かき」という大切な作業だ。
「ここは、土が硬いから、おけを使って水を入れるといいね」。土の感触や水の冷たさを感じながら、少しずつこつをつかんでくる。
地域の人と一緒に土を踏みならした後は、木のトンボを使って田んぼを平らにしていく行程に移る。しかし、「重くてトンボが動かない」と子どもたち。トンボを持って平らにしようと挑戦するが、土に埋まってなかなか思うようにできない。
この様子を見た地域の人が「まずは、トンボをゆっくり横に動かして、その次に、上下を逆さにしてごらん」と手順を分かりやすくアドバイスする。
「あっ、軽くなった。ありがとうございます」。やり方ひとつでこうも変わるのかと驚く子どもたち。作業に一層力が入り、田んぼがどんどん平らになっていく。
地域の人に優しく見守られながら、互いに交流して田作りを学ぶ子どもたち。山と緑に囲まれた「稲小こども園」に、楽しそうな歓声と温かな笑顔が広がった。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート