試行錯誤が成長の糧
英語で環境問題や社会問題を議論
2学年の「コミュニケーション英語Ⅱ」の授業。「猫の舌を応用した効率的な掃除機」「蚊をモデルにした痛くない注射器」「カタツムリの殻を模倣した汚れにくい外壁材」。生徒たちはパソコン画面上のスライドを次々に指さしながら、英語で説明していく。「実用化されているバイオミミクリー(自然界の生物をまねた技術開発)の例」を各自で選び、英語でプレゼンテーションをした。ペアで練習した後、4人グループに分かれて本番だ。発表に対して他の生徒からどんどん質問が飛ぶ。1人が発表を終えるたびに、生徒たちは評価や振り返りをアプリケーションに入力する。
全員の発表後、「なぜバイオミミクリーなのか」と教員が英語で発問すると、生徒たちは「自然への負担軽減ができるからじゃないかな」「人類と自然との共生という観点もあるよね」などさまざまな例を持ち出して話し合う。科学技術の発展と環境負荷の低減につながる、この単元の核心に、生徒たちがたどり着いた瞬間であった。
1学年の授業では、インターネットの匿名性に関する論題で、英語ディベートが繰り広げられていた。高校生が英語で論じるには難しいと思われるが、「最初は言いたいことが言えず、もどかしさを感じますが、それが良いのです」と教員は言う。悔しいから、調べる。伝えたいから、表現を工夫する。相手に伝わる英語で話そうと試行錯誤する。成長の糧が、そこにある。
大和高校は県の「総合的な探究の時間」の研究指定を受けており、探究のサイクルを意識した授業づくりに学校全体で取り組んでいる。
社会問題を発展的な活動の中で扱うのは「生徒の目を世界に向け自分の事として考えさせる」ためだ。目標は英語力と思考力を兼ね備えた国際人の育成だ。大和高校の教室の扉は、世界へ向かって開かれている。
さまざまな教室から、県教育委員会の指導主事や先生らで構成する「学び見守り隊」がリポート 神奈川県教育委員会では、他にも各校の取り組みを「元気な学校づくり通信『はにい』」で紹介。 http://www.pref.kanagawa.jp/docs/v3p/seitosidou/hanii.html
県立大和高校(大和市つきみ野)
「バイオミミクリーの例」を4人グループで発表する [写真番号:960194]
英語でディベートする [写真番号:960195]