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引き売りが高齢者に好評、新鮮な地場野菜を届ける/横浜

社会 神奈川新聞  2012年01月31日 12:03

集まった買い物客と会話しながら販売する山本さん(左端)=南区
集まった買い物客と会話しながら販売する山本さん(左端)=南区

往年の商売の基本だったといわれる引き売り(移動販売)。時代の移り変わりで激減したが、高齢化にともない、住民からの要望に応えて5年前から引き売りしているのは横浜市保土ケ谷区の農家、山本諭さん(32)。軽トラックにとりたて野菜を積んで、住宅街を回る。新鮮な地場野菜を自宅前で購入できる形態がお年寄りに人気だ。

「ピンポーン」「おはようございまーす」。軽トラックを止め、民家の呼び鈴を押しながら大声で呼び掛けて回る。すぐに中高年女性たちが続々と出てきた。「白菜は漬けるやつだから大きいのにしてね、いいやつね」。「ゴボウおいしかったわ」。客たちは山本さんと話しながら、野菜を選んでいく。

山本さんは、専業農家の父、直(ただし)さん(65)の引き売りに就学前から同行。21歳で家業を継いだ。地域住民の要望を受け、直さんとは別に、保土ケ谷区と南区で約20軒を相手に独自ルートを築いた。

客たちには買い物以外の楽しみもある。「近所の人と会うことはないけど、このときだけはおしゃべりして情報交換したりする」と女性客(80)。客同士でレシピや野菜の保存方法も教え合う。別の女性客(73)は「しゃべってストレス発散して…お兄さんは地域の潤滑油」。軽トラックは笑いに包まれる。

「背骨が痛くて重いものが持てない」と言う女性客(80)の野菜を、山本さんは慣れた様子で玄関先まで運ぶ。客層は主に60、70代で、白菜や大根などの重い野菜が自宅前で購入できるメリットは大きい。

山本さんが販売時に畑の状況を説明するので、客たちから「地場の野菜の旬が分かる」と好評。高齢化が進むなか、山本さんは隙間産業としてのニーズを確信している。「直売所が人気を呼ぶなど地場野菜の需要が高まっているが、かつては近所のものは近所で食べるのが当たり前だった。消費者のニーズも回帰しているように思う」

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