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講演名「ヘイトスピーチと表現の自由」
〈時代の正体〉排外主義者が川崎で講演計画 市民団体、会場使用取り消し要請

時代の正体 神奈川新聞  2017年03月10日 02:00

瀬戸氏も参加した民族浄化を想起させた「日本浄化デモ」=2016年1月31日、川崎市川崎区
瀬戸氏も参加した民族浄化を想起させた「日本浄化デモ」=2016年1月31日、川崎市川崎区

【時代の正体取材班=石橋 学】人種差別・排外主義の代表的な扇動者で極右政治団体「日本第一党」の最高顧問、瀬戸弘幸氏が25日、川崎市中原区の公的施設で「ヘイトスピーチと表現の自由」と題する講演を計画していることが分かった。瀬戸氏は昨年に同市川崎区で行われたヘイトデモに参加しており、地元の市民団体は9日、「ヘイトスピーチが行われる可能性が高い」として、会場の会館使用許可取り消しを含めて人権侵害を未然に防ぐ対処を市などに要請した。

 在日外国人の排斥を40年来唱え続ける瀬戸氏は人種差別・排外主義者の中心人物として知られる。昨年1月には在日コリアンの迫害を扇動する「川崎発!日本浄化デモ」に参加。多くの在日コリアンが暮らす同区桜本の街に迫った。

 ヘイトデモへの抗議活動を行ってきた「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は過去の言動から「瀬戸氏はヘイトデモへの一参加者ではなく扇動者。ヘイトスピーチが行われる可能性が極めて高い」と問題視。会場の川崎市総合自治会館の管理運営を担う外郭団体の同市市民自治財団や市市民活動推進課などに▽会館使用を認めない▽ヘイトスピーチをしないよう誓約させる▽法務省作成の啓発ポスターを会場の会議室に貼り出す-などを求めた。

 「ヘイトスピーチで受ける人権侵害は事後の回復が困難で事前規制、抑止が求められる」と同グループ。同課は「ヘイトスピーチが許されないというのは共通認識。対応を検討する」と応じた。

無策でいいはずがない


川崎市総合自治会館の責任者(左)に対処を求める市民ネットワークのメンバーら=川崎市中原区
川崎市総合自治会館の責任者(左)に対処を求める市民ネットワークのメンバーら=川崎市中原区

解説=デジタル編集委員石橋 学
 瀬戸氏が参加した「川崎発!日本浄化デモ」では「朝鮮人に殺せと言って構わない」「真綿で首を絞めてやる」とまで叫ばれた。民族浄化を想起させるへイトデモの源流をつくった人物が再び川崎を訪れ、反省なきまま講演に立つ。公然の差別で痛めつけられた被害者の心が波立たぬわけがない。

 閉じられた会場でも動画がインターネットにアップされ、何の制約を受けることなく開催できたという事実が成果として宣伝される。そうなれば、被害は避けられない。

 取り返しのつかない人権侵害の可能性があるとき、市民はヘイトスピーチ解消法が奨励する行為として抗議に駆け付け、抑止を図るだろう。行政、あるいは施設は無策でよいのか。

 東京都江戸川区は昨年8月、公園の使用許可条件に「不当な差別的言動を行わない」ことを追加し、守れない場合、次回以降の利用ができなくなることがあると明記している。

 そもそも国や自治体、国民の務めとしてヘイトスピーチは許さない、根絶すると宣言する法があるのだ。ヘイトスピーチはしないと事前に約束させることに何の不都合があろう。応じられなければ差別をする意思があるということになる。

 川崎市ではヘイト目的の公的施設の利用を制限するガイドラインと根拠となる条例づくりが始まっている。瀬戸氏は5日に都内で行った講演で「今年最大の闘争の目標は川崎」と発言、講演を足掛かりにヘイト対策にくさびを打ち込みたい意図がうかがえる。確信的差別主義者の存在が、ガイドラインと条例は必要で、策定が急がれるということを示してもいる。


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