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関東大震災の災害記録詳細に 中井町で記念誌見つかる

社会 神奈川新聞  2016年09月04日 02:00

「中井村震災紀念誌」に掲載された倒壊した中村尋常高等小学校の写真
「中井村震災紀念誌」に掲載された倒壊した中村尋常高等小学校の写真

 1923年9月1日に発生した関東大震災で中井村(現中井町)に生じた被害を詳細に記録した記念誌「中井村震災紀念誌」がこのほど、同町比奈窪の権守忠義さん(64)宅で見つかった。被災2年後に村が発行したもので、序章を「私たちの歩んだ跡を世の中、後世に伝え、戒めとすべき手本となり、思いを巡らし将来の大きな計画を打ち立てる助けになることを」(現代語訳)と結び、被害の様子などが124ページにわたって詳述されている。

 今夏、町の地域防災計画書を見直す作業のなかで、関東大震災の被災内容を記述していた記念誌のコピーが確認された。資料をたどると、権守さんが1975年ごろに自宅で発見して町に渡していたものと分かった。原本も権守さん宅で保存されていた。

 「亡くなった父の本棚を整理していたら、日記が挟まるように並んでいた。父は町の役職に就いていたわけでもない、ただの農家。なぜあるのかが不思議なくらい」と権守さんも首をかしげる。退職前までは旧足柄消防組合に勤めた権守さんは「この地域でも震災を語り継ぐ人がおらず、震災を知るすべがなかった。町で活用してほしい」と話している。

 記念誌の裏表紙に書かれた発行日時は1925年2月。同村では死者24人、行方不明者21人、家屋全壊213、半壊333などと記録されている。各地区ごとの被害状況も記され、最多となる7名の死者を出した松本地区では「裏崖の崩潰(壊)と共に1家3名震死せられたるは、悲痛の極」などと伝えている。

 村のならず者が復興に尽力するエピソードや、「前兆」としてネズミや猫など動物たちが異常行動を示していた事実も記録。余震の数や大きさ、倒壊した小学校と教育の再開、交通や水道など社会インフラ復興への動きなどもまとめてある。

 町文化財保護委員の山口隆治さん(69)は「国などへの被害状況を報告するような意味合いも持っていたのでは」と推測。被害状況の記録を記念誌から引用したとみられる箇所はその後の村誌、町誌にもあるが、時代を追うごとに量が減っており「具体的なデータは貴重。地質など現代の新しい情報や科学的知見なども加えて読み解くことが大事」とも強調している。


「中井村震災紀念誌」と保管していた権守さん=中井町比奈窪
「中井村震災紀念誌」と保管していた権守さん=中井町比奈窪

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