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歴史の暗部にいまこそ目を、相模ダムで追悼会/神奈川

政治行政 神奈川新聞  2011年07月13日 15:41

歴史の暗部と向き合う夏がまたやってくる。県民の水がめ、相模ダム。その建設工事で殉職した人たちの追悼会が31日に開かれる。戦時中の労働力不足から駆り出された朝鮮人、中国人が数多く犠牲になった。式典は33回を数えるが、事務局の太田顕さん(68)=相模原市緑区千木良=は「いまこそ過去に目を向けなければ」との思いを強くする

湖畔の石碑が史実を静かに伝える。

〈工事には(中略)捕虜として連れてこられた中国人、当時植民地であった朝鮮半島から国の方策によって連れてこられた方々など延べ三百数十万人が従事されました〉

碑には、建設中の事故などで亡くなった83人の名前が刻まれている。1993年10月、太田さんら地元住民の要望に応じる形で県により建立された。

後日談があった。太田さんは「相模湖・ダムの歴史を記録する会」のメンバーとして、工事関係者から聞き取り調査を行ってきた。そのなかで強制連行、強制労働の実態について証言を得ていた。碑文に「強制」の文字を盛り込むよう求めたが、県は「議会の了解が得られない」と難色を示し、要望は通らなかった。

完成後、県の担当者は打ち明けたという。

「碑文のプレートは取り外せる。いつか『強制連行』という言葉が定着したら、取り換えればいい」

それから20年近く。文言は当時のままで、その4文字が消えた教科書まで登場した。

太田さんは知的障害者の入所施設で働いてきた。その目には、閉ざされた施設で一生を終える障害者と過酷な現場で働かされた人たちの境遇が重なって映った。「朝鮮人、中国人を危険な作業に従事させることができたのは、彼らを蔑視していたからだ。障害者を社会から排除して平気でいられる差別意識と同じだ」

差別や人権といった、いまにも通じる問題をそこに見ているからこそ、埋もれかけた歴史を掘り起こし、追悼会や講演で語り継ぐことにこだわってきた。

そして東日本大震災、原発事故―。

太田さんが力を込める。「これまでの生き方が問い直され、人と人のつながりを大切にしようといわれる。そうであるなら、このダムの歴史にも向き合わなければ」。悲劇を見詰めてこそたち上ってくる命の尊さを伝えたい。

相模湖・ダム建設殉職者合同追悼会は31日午後1時から県立相模湖交流センターで。地元の市立内郷小学校の児童による合唱も披露される。問い合わせは実行委員会事務局太田さん電話042(684)3514。

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