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逆境が強くする、コジマ技研工業が「串刺機」究めシェア独占/相模原

経済 神奈川新聞  2011年06月27日 13:04

国内の市場シェアを独占する「自動串刺機」=相模原市中央区のコジマ技研
国内の市場シェアを独占する「自動串刺機」=相模原市中央区のコジマ技研

焼き鳥、串カツ、おでん、団子―。どんな食材も串刺しにする「自動串刺機」市場で、コジマ技研工業は社員4人ながら国内市場シェア9割を独占する。だが、ここまでの道のりは平たんではなかった。借金、粗悪品のレッテル、技術流出…。数々の苦難にも決して諦めない粘り強い経営が、オンリーワン企業を生んだ。

■借金2千万円

「幾度となく人間不信に陥ったことが出発点」。同社の創業者で「自動串刺機」を開発した小嶋実社長(78)は、そう振り返る。

大学卒業後、ベアリングメーカーを経て知人らと自動化設備の製造会社を設立。技術担当として働いた。数年は順調だったが、実印を預けていた当時の社長による使い込みが発覚し、連帯保証人として2千万円の個人負債を背負う。会社も整理。1977年のことだ。

やりきれない思いを抱えながら毎晩のように焼き鳥屋で酒を飲んだ。ツケもたまっていた。そんなとき、店の主人から「串刺しの作業が大変。機械でも作ったらツケ代は相殺してやる」と言われた。それが開発のきっかけだ。

残務整理の傍ら、「自動串刺機」の製品化に没頭。開発試験で使う肉代が払えず、早朝から精肉店でアルバイトして給料代わりに肉の切り身をもらった。

さまざまな形の肉に串を刺すのは、手作業でも難しい。機械で固定して刺しても、肉と肉のすき間が均等にならない。試行錯誤の末、バラツキをなくすには肉を載せるトレーにヒントがあることに気づいた。土台部分の形状を工夫して解決策を編み出した。

■全国各地で営業

「自動串刺機」の本格販売に乗り出したのは、1980年代後半。先行メーカーは数社あったが、どれも串を均一に刺すことができなかった。外食業界では「機械は使い物にならない」とレッテルが張られていた。

小嶋社長は開発した製品を自動車に積み、全国各地の居酒屋や飲食店を回るが、誰も聞く耳を持たなかったという。

それでも後には引けない。85年に専業メーカーとして現在のコジマ技研を設立。粘り強い営業で、ついに大手食品メーカーへの納入にこぎ着けた。

■一歩上いく製品

そんな矢先、提携関係にあった製造委託先と販売を任せていた2社が図面を勝手に持ち出し、類似品の販売を始めた。

「本当に悔しかった。ただ、模倣品の阻止に力を入れるより、まねされた技術の一歩上をいく製品を作ればいいと考えた」

毎年のように新製品を出し続けた。1時間で1万本以上刺せる上位モデルも発売した。値引き交渉にも応じなかった。

結局、2003年に競合メーカーが倒産。事実上のオンリーワン企業になった。「苦難があったからこそ、ここまでたどり着けた。模倣品が現れなかったら技術力も向上しなかった」と小嶋社長。“粘り腰”の経営を続けてきたからこそ、今がある。逆境こそが会社を強くする、という。

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