1. ホーム
  2. 社会
  3. 「二宮観光の目玉へ」、二見利節画伯の遺作を保存・展示する「ふたみ記念館」開設/神奈川

「二宮観光の目玉へ」、二見利節画伯の遺作を保存・展示する「ふたみ記念館」開設/神奈川

社会 神奈川新聞  2011年05月08日 11:36

新築され、オープンを待つふたみ記念館
新築され、オープンを待つふたみ記念館

二宮町出身の異才の洋画家、二見利節画伯(1911~76)の遺作を保存・展示する「美術館」の開設準備を町が進めている。財政難の中、自治体が新たな美術館の運営に乗り出すのは挑戦的な試みだ。早春の菜の花で知られる吾妻山公園や大規模な風致公園づくりなどで日帰り観光地化を目指す町の文化拠点の一つとして集客効果に期待がかかっている。

新設する「ふたみ記念館」は篤志家の善意がきっかけとなった。2008年秋、ある女性が同町山西に所有する土地約千平方メートルを町に寄付した。町とやりとりする中で、女性は二宮にゆかりがあるが忘れられつつある二見画伯の存在を詳しく知り、「遺作を展示・保存して後世の町民に残してほしい」と要望。土地だけでなく、建物も新築して寄贈することになったという。

そこで町は生誕100年に合わせて、今年10月29日に開館することを決定。二見画伯の弟子らとも相談しながら準備作業を進めている。「画伯は膨大な作品を描いたが、『絵はまだ完成していない』と売らなかった。しかし、町民の中にはモデルをしたり、作品をもらって収蔵している人が大勢いるようだ」と館長に就任予定の落合厚志さん(61)。今後はこうした個人所蔵の作品の掘り起こしなどにも力を入れていくという。さらに平塚市美術館にはすでに遺族から遺作約350点が寄贈されており、随時公開していきたい考えだ。

入館料は500円。町議会では美術館の経営は難しいと慎重意見もあったが、坂本孝也町長は黒字運営を目標に掲げる。「吾妻山を中心とした日帰り観光を進めていく上で、町内を散策してもらう仕掛けが大切だ。ふたみ記念館にはその中心的な役割の一つを果たしてもらいたい」と意気込んでいる。

◆二見利節画伯 1933年、春陽会展で「温かい部屋」が初入選し画壇にデビュー。31歳で太平洋戦争に出征。35歳で帰還後は国画会会員となるものの、54歳ごろまでほとんど世の中とは没交渉で、孤独に筆を執り続けたという。作品は膨大な数に上るものの、人目に触れる機会は少なかった。55歳以降はスポンサーも得て個展も頻繁に開いた。創作意欲も衰えを知らず画業に打ち込んだが、がんを患い65歳で死去した。画風は多彩だが、ピカソのキュービズムの影響を色濃く受けた作品が残っている。

【】


二宮出身の二見利節画伯
二宮出身の二見利節画伯

シェアする