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横浜港ドイツ軍艦爆発事件の全貌に迫る、10年の歩みを加筆し文庫化

社会 神奈川新聞  2011年05月05日 22:15

爆発事件直後、山手の丘から見た横浜上空を覆う黒煙。初めて広く公開(1942年11月30日、故若尾駿太郎氏撮影、渡辺きよみ氏蔵)
爆発事件直後、山手の丘から見た横浜上空を覆う黒煙。初めて広く公開(1942年11月30日、故若尾駿太郎氏撮影、渡辺きよみ氏蔵)

1トン爆弾100発分、震度2―。戦時中、横浜港で起きたドイツ軍艦爆発事件の全貌と半世紀にわたる日独交流を描き、本紙でも一部連載した「横浜港ドイツ軍艦燃ゆ―惨劇から友情へ50年目の真実」(石川美邦著)が、光人社ノンフィクション文庫から発売された。

文庫判「横浜港ドイツ軍艦燃ゆ」(404ページ、930円)は、戦後50年の1995年に出版された単行本に、その後の10年の歩みを加筆・修正した。

主な加筆事項は(1)横浜地方気象台の地震観測簿により爆発時間を特定、爆発に伴う最大震度2(2)南京号の拿捕(だほ)者らは福島市内に抑留(3)事件目撃者らの「横浜港ドイツ艦船爆発事件を語り継ぐ会」10年の歩み(4)山手外国人墓地でドイツ将兵祈念墓誌の建立―の4点。

横浜税関の倉庫に眠っていたガラス乾板との出合いから始まり、日独100人以上の目撃者や事件関係者らの証言や関連資料を拾い集めた。そして日独伊三国同盟の軍事機密として一切の記録が闇に葬られた爆発事件の全貌や、箱根・芦之湯での抑留生活、山手と根岸外国人墓地に2基あるドイツ将兵墓碑の謎などに迫るプロセスを、推理小説のように解き明かしていく。

目撃者の1人で「語り継ぐ会」メンバーだった伊波新之助さん(75)は「連載をきっかけに、事件のことはしゃべってはいけないというマインドコントロールが解けた。多くの目撃証言がこの本に収録されている。異郷で亡くなったドイツ人を追悼する墓誌を作った横浜の人たちの温かさも伝えたい」と話した。

◆横浜港ドイツ艦船爆発事件 1942(昭和17)年11月30日、横浜港新港埠頭(ふとう)でドイツ仮装巡洋艦トオル号、輸送船ウッカーマルク号など4隻が爆発大破。死者102人、負傷者多数を出した横浜港史上最大の事件。ドイツ将兵らは終戦後まで箱根・芦之湯に抑留された。

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爆発炎上する軍艦を配した文庫版「横浜港ドイツ軍艦燃ゆ」
爆発炎上する軍艦を配した文庫版「横浜港ドイツ軍艦燃ゆ」

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