1. ホーム
  2. 社会
  3. 県内でナマコ脚光、中国の需要で価値急騰/神奈川

県内でナマコ脚光、中国の需要で価値急騰/神奈川

社会 神奈川新聞  2011年01月07日 11:15

東京湾で捕れたナマコ。左端が黒ナマコで、ほかはすべて青ナマコ(県水産技術センター提供)
東京湾で捕れたナマコ。左端が黒ナマコで、ほかはすべて青ナマコ(県水産技術センター提供)

これまで見向きもされなかったナマコの価値がこの数年、急騰し、県内でも東京湾沿岸で漁が活発になっている。中国への輸出品として、重宝されるようになったためだ。干しナマコは中華料理の高級食材で、経済成長著しい中国では需要が増大。漁師にとっては、魚の少ない冬場の貴重な収入源になり、「ありがたいこと」と歓迎している。

東京湾に生息するのは、赤ナマコ、青ナマコ、黒ナマコの3種。船上からメガネで海中をのぞいてもりを突く「見突き」という漁法で、食感の柔らかい赤ナマコを中心に生食用として漁獲されてきた。赤ナマコに比べ、青ナマコは半値以下、身の硬い黒ナマコは漁獲対象にならなかった。

しかし、この5年ほどで状況は一変。中国輸出用に加工業者が次々と買い付けを打診してきたためだ。干しナマコは中国では「海参(ハイシェン)」と呼ばれる高級食材で、フカヒレや干しアワビと並び珍重されている。

特に、黒々としてとげのあるものが上質とされ、これまで無価値だった黒ナマコの方が高値で取引されるようになった。漁法も、見突きから、より多くの漁獲が見込める「桁引(けたび)き網漁」へ変更。砂地の海底で網を引く県の許可漁業で、県内では5年ほど前に横須賀市東部漁協がいち早く着手した。

みうら漁協の金田湾地区(三浦市)では2008年、近隣の漁協を手本に桁引き網漁への参入を検討。情報を聞きつけた千葉県内の加工業者が同年9月ごろ、金田湾地区の漁師を訪ね、取引を持ち掛けてきたという。

こうして、09年には約20軒の漁師が桁引き網漁を開始。自主規制で漁期を1月から3月以内までとし、09年には計14・5トン、10年は計11トンを水揚げした。収入は1軒平均で50万~60万円ほど。漁師の岩野重紀さん(61)は「冬場は養殖ワカメが中心だったが、これとは別の収入が得られるようになった」と話す。

今後、課題となるのは資源管理。いままで注目して見ていなかったので、漁師にもナマコの生態がよく分からないためだ。

金田湾地区では、漁期をはじめ、さまざまな自主規制を定めて漁に取り組んでいる。操業時間を午前9時~午後2時としたほか、漁期内でも週2日以上の禁漁日を設けることにしている。1隻の1日当たりの漁獲も100キロに制限。漁師の田村敏夫さん(62)は「ナマコで多くの収入を得ようとは思っていない。自分たちで自主規制を考えながら、持続可能な漁としていきたい」と語った。

【】


シェアする