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25年の歴史に幕
ルーツ知る場、今後も ヨコハマハギハッキョ

社会 神奈川新聞  2016年08月27日 02:00

「会場で使うチマ・チョゴリの衣装やチャンゴのほとんどは地域の人から寄付してもらった物です」と話す大沢朝美さん =横浜市西区
「会場で使うチマ・チョゴリの衣装やチャンゴのほとんどは地域の人から寄付してもらった物です」と話す大沢朝美さん =横浜市西区

 いわれのない差別や偏見の中で、自分を出せずにいる在日コリアンの子どもたちを勇気づけようと、1992年から続く草の根のイベント「ヨコハマハギハッキョ(夏期学校)」が今夏、25回目で幕を閉じる。教師たちの中で担い手が少なくなってきたためだ。自らの文化に触れる機会の少ない子どもたちがそのルーツを知る場だった。同時に、差別がもたらした負の歴史を日本人にもコリアンの子どもたちにも見つめてもらう場でもあった。今、ヘイトスピーチがはびこる。「だからこそ、培ったネットワークを今後も大事に育んでいきたい」。長年携わってきた教諭は前を向く。最後の開催は27日、横浜市南区の南公会堂で迎える。

 横浜市は91年、「外国の文化や歴史を尊重し、誰もがありのままの姿で生きる」という目標をうたう「在日外国人に関わる教育の基本方針」を打ち出した。これをきっかけに、教諭や在日コリアンの保護者らが催しを企画したのがハギハッキョの始まりだ。

 公立小学校で学ぶ在日コリアンの子どもたちが年に1度、会場となる横浜市内の学校でチャンゴ(民族楽器)体験やチマ・チョゴリの試着、韓国料理体験などを楽しむ。


ハギハッキョで、朝鮮半島の打楽器「チャンゴ」を習う子どもたち(大沢さん提供)
ハギハッキョで、朝鮮半島の打楽器「チャンゴ」を習う子どもたち(大沢さん提供)

 民族講師と呼ばれる韓国・朝鮮にルーツを持つ大人たちや、小学生の時に参加したOB・OGの中高生らも参加し、生の韓国・朝鮮文化を伝える貴重な場となってきた。「国際交流イベント」としても地域で定着し、日本人の子どもや保護者も含め、毎回約200人が参加してきた。

 大学生になった在日コリアンは「ハギハッキョで本名を名乗れた。自分は韓国人なんだとはっきり自覚できた場所でした」と振り返る。

無 知


 ハギハッキョではコリアン文化とともに、日本と韓国・北朝鮮の歴史も学ぶ。

 「なぜ、在日コリアンが生まれたのか、なぜ、通称名で過ごさなければならないのか。子どもたちは日本の植民地支配につながる在日コリアンの歴史を学校で学ぶ機会がほとんどないし、教師も含め、大人も教えられてこなかった」

 第11回目からハギハッキョを支えてきた横浜市立岡野中学校の美術教諭・大沢朝美さん(56)は自戒を込めて言う。

 ハギハッキョで大切にしてきた劇がある。1923年9月の関東大震災時、横浜市内で起こった朝鮮人虐殺の史実をテーマにした朗読劇「地震に学ぶ」だ。

 南吉田第二小などに通っていた児童らが震災当時の様子を書き記した作文を基にした劇だ。作文には、市内で起きた日本人による朝鮮人の暴行や虐待を目撃した場面がつづられている。

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