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民主主義考
時代の正体〈379〉シールズ最後の会見(中)

時代の正体 神奈川新聞  2016年08月18日 09:40

左から千葉泰真さん、元山仁士郎さん、諏訪原健さん
左から千葉泰真さん、元山仁士郎さん、諏訪原健さん

 最後の会見に臨んだ「SEALDs」(シールズ)のメンバー。活動の1年3カ月を振り返り、政治や社会、この国の未来を思う発言が続いた。解散を機にあらためて語られる等身大の「私」。繰り返し問い、投げ掛けられたのは、主権者として、これから「あなた」はどうするのか。 

社会つくる実感伝え

諏訪原健さん(23)大学院生


諏訪原健さん
諏訪原健さん

 親しい後輩から議論をふっかけられ、半ば無理やり連れてこられ、シールズの前身である特定秘密保護法に反対する学生団体「SASPL」(サスプル)に加わった。

 正直に言うと僕は、いろんなことについて理屈で述べて、なんとなく客観視するような人間。だから、シールズのような活動に関わるようなことは絶対にないと思っていた。

 あらためて思うのは、戦後70年平和だったのはなぜかという問いに「憲法9条があったから」「日米同盟があったから」という人もいるが、やっぱり誰かの仕事によって、いまこの社会があるのだということだった。そうであるのに、何か理屈をこねて客観視していて僕はいいんだろうか、と考えた。

 この間、最もつらかったのは何か。それはスピーチすることでした。

 なぜか。自分自身が何を考えているのかを言わなければいけないからだ。

 理屈で「安保法制の何が問題か」と話すことはできる。でも、そうではなくて、自分にとってこの問題が何なのか、いまの社会にとってどういう意味を持っていると考えているのかを話すことは本当にしんどい。

 単純に発言するだけで気恥ずかしい。そして自分の中に、そんな考えがあるのかどうかも疑わしい。毎回毎回不安になるが、それでも苦労して、紡ぎ出した一つ一つの言葉や、あるいはその結果できた仕事の積み重ねによって、社会は成り立っているんだと思った。

 僕はそれに賭けなければいけない。客観視していてはいけない。

 戦後71回目の終戦の日が終わり、また新しい一日が始まった。今日から、僕にとって僕ができることを始めていきたい。それが何より大事なことだと思う。

 一つ言いたい。いま憲法の話が政治の場で盛り上がっている。いろんな人がいろんなことを言っている。

 だが選挙期間中、憲法の話など誰もしなかった。何を語っていたかと言えば、(候補者はみんな)給付型奨学金、子育て、介護について話していた。だが選挙を終えてみると、「いま問われているのは改憲」などということになっている。

 国民の生活といった身近な政治がどうなっているのか、やはり問いたい。メディアも選挙期間中に問われたことがなんだったのか、きちんと指摘してもらいたい。

 これは、誰か特別な役割にある人だけができること、というわけではない。パートタイムでも社会に関わっていくことはできる。ちょっとの時間を積み重ねていくこと。それがこの社会をつくっていく。その実感を持って僕も伝えていきたい。

種まき続け見た希望

千葉泰真さん(25)大学院生


千葉泰真さん
千葉泰真さん

 この1年とちょっとの間ですべてを出し切った。僕はもうすっからかん。その意味で何も悲壮感や後悔もない。また勉強して、自分の武器を作りアイデアを絞り、社会に問い続けたいと思っている。

 シールズのムーブメントはこの国のソーシャル・ムーブメント(社会運動)の最先端だと思う。抗議行動の見せ方や配信してきた動画のクオリティーなど、明らかに格好いい。明らかにこれまでの日本社会にはなかったものがいまある。どう考えても新しく、かつ格好いい。最新性がここにあると言っていい。

 だが、最新性や最先端性は一瞬でいいと僕は思っている。僕たちは一番前の座に2年も3年も居続けたいと思っていない。そんなものはださいと思っている。

 このシールズを作り出した運動が早くアップデート(更新)されて、新しい運動の最先端が出てきてほしい。そのための種を、僕たちは去年の5月3日の結成の日からまいてきたのだと思う。それをキャッチしてくれた人が日本中にいると確信している。

 去年の夏、国会前で、全国で、これまで見たことのない規模で抗議行動が展開された。それは安保法制が成立した後も終わらず、実際に政党政治を動かし続けてきた。そういった、この社会の確かな前進はこの先も続いていくと確信し、シールズを終えたいと思う。

沖縄と結ぶ懸け橋に

元山仁士郎さん(24)大学生


元山仁士郎さん
元山仁士郎さん

 沖縄と本土では終戦について少し認識が違うところがあるが、8月15日にシールズが解散するというのは、戦争と自分たちの行動を結びつけるという意味があり、過去と現在、そして未来と、対話し続けるという問い掛けができたのではないかと思っている。

 沖縄出身のシールズメンバーとして活動することで沖縄と安全保障法制、沖縄と特定秘密保護法、沖縄と政治を結びつけることができた。懸け橋のような役割を負っていたと自負している。

 実際、いろいろな機会でそうした趣旨の発言をさせてもらった。今まさに

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