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いきものがかり「放牧宣言」の真意は

社会 神奈川新聞  2017年02月06日 10:59

海老名のビナウォークに凱旋(がいせん)したいきものがかり =2016年3月
海老名のビナウォークに凱旋(がいせん)したいきものがかり =2016年3月

 「それでは行ってきます。放牧!」-。1カ月前、突然、活動を休止すると発表し、日本中の注目を集めた県内出身の人気グループ「いきものがかり」。リーダー・水野良樹さん(34)に雑誌や自著などでインタビューを重ねてきた音楽ジャーナリスト・柴那典さん(40)=横浜市在住=に、「いきものがかり放牧宣言」について聞いた。

 --昨年、メジャーデビュー10周年を迎え、彼らの地元(厚木、海老名)でも盛大なライブが行われたばかりでした。突然の活動休止をどう受け止めましたか。

 「予兆はなかったので、驚きました。ただ、活動休止を発表するタイミングとしてはベストだったと思います。昨年、地元で盛大なライブを開催し、紅白歌合戦ではデビュー曲を歌いました。自分たちが歩んで来た10年を誰が見ても分かる形で総括できた。だから、リフレッシュするなら今が一番良いタイミングだったんだと思います」

 --活動休止を「放牧宣言」と表現したのはなぜでしょうか。

 「一般的に、音楽業界の活動休止には、二つの意味が含まれてきました。一つは、リフレッシュを前提にしたもの。サザンオールスターズのように活動休止を何度も経ながら、活動を続けているグループもいます。桑田佳祐さんがソロ活動をしたり、音楽づくりがルーティンワークにならないよう、リフレッシュ期間を大切にしている。グループとしての活動を休止し、個々の表現の引き出しを増やしていくことは、アーティストにとって重要な時間です」

 「もう一つは、事実上は解散状態だけれど、それを言えない理由がある場合です。活動休止は、活動を続けてきた疲労や限界が見え隠れするネガティブな言葉でもあります。リフレッシュという、ポジティブな面だけではありません。いきものがかりが、“放牧”という言い方をあえてしたのは、活動休止という言葉が持つネガティブな面を払拭(ふっしょく)する狙いがあったのだと思います。発表した写真も、牛の着ぐるみを3人が着ていて、深刻さがないですよね。リフレッシュという言葉を一番彼ららしい言葉で表現したなと思っています」

               ♪ ♪ ♪

 --いきものがかりの特徴は、Jポップでは、どのように位置づけられますか。

 「水野さんが、インタビューで話していたことですが、『いきものがかりがデビューした頃は、Jポップ育ちのバンドがほとんどいなかった』と。彼らが影響を受けたドリームズ・カム・トルゥーもそうですし、山下達郎やユーミンとか、1970~80年代に登場したミュージシャンは洋楽に影響を受けた曲を発信していました」

 「一方、いきものがかりは、ゆずから影響を受けたと公言しています。いきものがかりがデビューした90年代後半~2000年代初頭は、ゆずに影響を受けたバンドが多くデビューしました。けれど、今、生き残っているバンドはほとんどいません。いきものがかりは、永六輔さんや中村八大さんら昭和歌謡の名曲まで遡(さかのぼ)って咀嚼(そしゃく)して、たんなるゆずの追随ではなかった。Jポップ育ちであることを極めてポジティブに押し出した特異なグループだったので、登場時には、決して王道ではなかったけれど、昭和歌謡にさかのぼったからこそ、幅広い世代が口ずさめる曲を生み出すことができたんだと思います」

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