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民主主義考
時代の正体〈378〉シールズ最後の会見(上)

時代の正体 神奈川新聞  2016年08月17日 12:36

最後の会見に臨み笑顔のメンバー
最後の会見に臨み笑顔のメンバー

 安全保障関連法制や憲法改正に反対してきた学生団体「SEALDs」(シールズ)が16日、都内で最後の記者会見を開いた。15日の解散を受けたもので、創設メンバーを中心に約20人がマイクを握り、それぞれに活動を振り返った。発言を紹介する。


社会のありよう問い

奥田愛基さん(24)大学院生


奥田愛基さん
奥田愛基さん

 シールズを続けてきて、ずっと大事だと思っていたことがある。それは日常を肯定すること、自分が生きていることをまず肯定することだった。

 安倍政権にノーだから抗議してきたというだけではない。順序がそうではなく、まず自分自身がどう生きていったらいいかと考え、思い悩んだりすることの方が先だった。

 そこから何をすべきかを考えていき、政治について言わなければいけないことがあるならば言うという結論が出てきた。日常を犠牲にして、自分の生活が回らなくなったり、本当に生きるのがつらくなったりしてまで続ける必要はない。「あなたが生きていることこそが最も大事なことだ」ということを確認し続けてきた。解散に当たり、まずそう思った。

 1年半、政治的な活動をしてきて思ったのは、この社会でこうしたことを担おうとする人がまだ少ない。あるいは、やっていこうとする人の比重が非常に重いということだった。若者がデモに参加し、政治的にイエス、ノーをちゃんと言うことがこんなにも大変なのかと感じた。

 一方、いま頑張っている人たちがいる。僕らよりずっと頑張っている人たちがいる。みんなで担えばそうでもないことが、特定の人たちだけに担わせていると、その肩の荷の重みというのは非常に重く感じる。

 選挙の投票率でいうと、常に若者は政治に無関心だと言われてきて育ってきた。実際選挙の現場をみて確かにその通りだった。

 チラシ配りや選挙対策本部を担っているのは、自分の父や祖父に近い世代。腰を曲げて集会に出向き、ポスティングする姿に感動を覚える一方、これでいいのかと思う。

 10年、20年後の日本で一体何が起きるのか。ずっと憂えている。それはシールズが解散しようとも、このままでいいのかという思いがぬぐい去れるわけではない。


最後の会見に臨むメンバー
最後の会見に臨むメンバー

 2040年までに人口減の中で市町村の約4割が消滅するというデータがある。若い世代は消え、その若い世代への負担は重い。若い世代が生活を維持できなくなれば、上の世代の社会も維持できなくなる可能性がある。

 そうした中で、本当にそれでいいのかと考え、問い続けた。「民主主義って何だ」「これだ」というコールがクローズアップされた。これだと言い切ることも大事だが、もう一つ覚えておかなければいけないことがある。「この社会は一体どうなっているのか」という問いだ。

 常に問いかけがあり、日々答えを出し続けてきた。そうした不断の努力の中で活動してきた。これが大切だという価値が伝わればいいが、なかなか共有できない。どう伝えれば伝わるのか。これは非常に難しいことだった。正しいことを言ってればいい、ということではない。「これが大切である」ということを大切にしながら、同時にどうやって伝えるのかを、両方ともやらなければいけない。

 できなかったことについて反省は大いにある。でも、このままでいいのかという問いは僕の中で残り続ける。

未熟な主権者として

寺田ともかさん(23)専門学校生


寺田ともかさん
寺田ともかさん

 私はこの国でこれから何十年と生きていく。これまで何十年もかけて少しずつ右傾化してきていたこの国の状況が1年や2年で良くなるとは思っていない。選挙に関わる中で自民党をはじめ改憲勢力の方々が何十年間もかけて、憲法改正に向け地道な努力を続けてこられたこともよく分かった。

 しかし、その努力は国際的な軍縮の流れに逆行する時代錯誤なものであると私は認識している。これからは時代に合った新しい価値観に基づき、リベラルな側の地道な努力が問われてくるだろうと思う。

 シールズは解散するが、それはシールズという一つの手段が、目的化しないためにも必要なこと。活動を続ける中で、シールズの是非や、シールズを支持するかどうかなど、本質からそれた議論が広がっていった。だが、私たちが伝えたかったことは、誰かに期待するのではなく個人が自分の責任において行動することの必要性だった。

 私たちは本当に普通の大学生。ヒーローのように社会を変えたいと思っていたわけでも、完璧な運動体をつくろうとしていたわけでもない。たたこうと思えば批判する材料はいくらでも出てきたことと思う。それも含め、自分たちの無力さを受け入れた上で、未熟ながらも主権者としてやれるだけのことはすべてやろうと取り組んできた。

 この未熟さや普通さが次に誰かが行動するときの勇気につながっていればうれしい。とても長い闘いになるだろう。それでも私にできることを個人として続けていきたい。

過去未来と対話続け

林田光弘さん(24)大学院生


林田光弘さん
林田光弘さん

 8月15日に解散するということについて、僕はすごくいい日に始まって、いい日に終わったなと思っています。ずっとシールズがやってきたことは、現在と過去、そして未来をつなぐこと。対話することだった。8月15日に解散することは、これからも過去や未来と対話し続けることを宣言する意味がある。

 シールズのメンバーの中でも、僕は長崎出身の被爆3世の若者としてマイクを

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