1. ホーム
  2. カルチャー
  3. 女性たちの苦悩重ね 「横浜ローザ」20周年

継承71年目の夏
女性たちの苦悩重ね 「横浜ローザ」20周年

カルチャー 神奈川新聞  2016年08月11日 11:44

演劇から飛び出し、ローザに扮(ふん)して繁華街を歩く五大路子さん=2013年5月、横浜市中区
演劇から飛び出し、ローザに扮(ふん)して繁華街を歩く五大路子さん=2013年5月、横浜市中区

 戦後、横浜の街角に立ち続けた白塗りの娼婦(しょうふ)、メリーさんをモデルにした演劇「横浜ローザ」(杉山義法作、大西一郎演出)が14日から18日まで、横浜市中区の横浜赤レンガ倉庫1号館で上演される。横浜ゆかりの俳優、五大路子さんのライフワークともいえる一人芝居で、20周年を迎えた。描き続けたのは、戦争に狂わされた人生と、それを忘れさせまいとする市井の女性の生きざまだった。

 メリーさんは1921年生まれ。終戦間もない横浜で米軍将校らを相手に体を売り始めたという。その人生に、主人公ローザが重なる。大戦で夫を、朝鮮戦争で恋人の米兵を失い、街に立つようになったのだ。

 「青春をちょん切られた」というせりふに、五大さんは思いを込める。顔を真っ白に塗ったローザの姿こそ奇異に映るが、その人生は何げない幸せを奪われた多くの女性に重なる。だから五大さんは彼女にこう言わせる。「(戦争に)勝っても負けても、女はいつでもどこでも一緒」と。

 出発点は、五大さんが91年にメリーさんと出会ったこと。数年を費やして彼女の半生に寄り添い、舞台化の許しを得て初演にこぎ着けた。以来20年。昨年4月には、かつて敵国だった米国での公演を実現した。

 ニューヨークの劇場で、15歳の少女は「ローザは私のヒロインになった」と感想を漏らした。「その言葉を今、何度も胸の中で繰り返している。困難を乗り越えた彼女の生き方に共感が得られたのだから」。戦争が終わっても戦争を背負い生きた人々を思い、五大さんは舞台に向かう。

 前売り料金は一般4500円、学生3千円。16日には公演とは別に、ダ・カーポや日野美歌さんらが出演するチャリティーコンサート「響け! ローザへの思い」(前売り料金6千円)もある。時間など問い合わせは、横浜夢座事務局電話045(661)0623。


シェアする