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きょうから気象庁
津波規模正確に予測 海底観測活用拡大

社会 神奈川新聞  2016年07月28日 09:32

 三陸や房総、紀伊半島沖などの海底に構築された地震・津波の観測網が28日から、気象庁の発表する津波警報などに活用される。東日本大震災の巨大津波を引き起こした日本海溝や南海トラフなどで今後発生する津波を、陸地到達時より最大で20分早く検知できるのが最大の利点。津波の規模を正確に予測できるようになり、住民の確実な避難につながると期待されている。

 新たに活用されるのは、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が震災後に根室沖から房総沖にかけての日本海溝周辺に整備したS-netの観測点(125カ所)と、海洋研究開発機構(横須賀市)が南海トラフ巨大地震をターゲットとして和歌山~徳島の沖合に構築したDONET2などの観測点(31カ所)。先行整備したDONET1の三重沖の観測網は既に警報などに使われているが、今回の拡充により、沿岸部を含めた津波の観測点は229カ所から385カ所へと大幅に増加する。

 海底観測網が沖合でキャッチした津波のデータは、地震の3分後をめどに発表される津波警報の第1報には活用されないものの、その後の警報更新時や観測値の発表に役立てられる。迅速さを重視する第1報は波高の予測精度などに難があるが、その直後に沖合で津波を検知すれば実測値を基に計算できるため、波高の正確な予想が可能になるという。

 東日本大震災では、マグニチュード(M)9・0の巨大地震が起きた3分後に気象庁が津波警報を発表したが、津波高の予想は宮城県が6メートルだったのに対し、岩手、福島両県は3メートルと低かった。岩手と福島の予想波高は2度更新されたが、10メートル以上との予測が示されたのは地震の41分後で、住民の避難の遅れを招いたとの批判も浴びていた。

 S-netは、歴史的に大津波が繰り返し起きてきた宮城沖や岩手沖のほか、震災の影響で大規模地震の発生が警戒されている千葉東方沖、相模トラフの沖合に当たる千葉南東沖もカバー。これらの海域で津波が起きた場合、沿岸部に到達する5~20分前に検知できる。一方、DONETが対象とする南海トラフは、想定される巨大地震の発生海域が日本海溝より陸に近いため、早期検知の効果が限られ、5分ほど早まる程度という。

 海洋機構でDONETの研究開発を主導した香川大の金田義行学長特別補佐は「海底観測網を津波警報などの防災対応に生かせば、避難だけでなく救援活動の迅速化も可能。日ごろの観測を通じて海底下の地殻変動をモニタリングすることで、地震の発生予測研究の進展も期待できる」と意義を強調している。


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