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日産が自動運転ミニバン発売 国産車初、反転攻勢へ

経済 神奈川新聞  2016年07月14日 02:00

国産メーカー初の自動運転技術を搭載した日産の新型ミニバン「セレナ」。右が日本事業などを担当する中村副社長、左が開発担当の坂本副社長=横浜市西区
国産メーカー初の自動運転技術を搭載した日産の新型ミニバン「セレナ」。右が日本事業などを担当する中村副社長、左が開発担当の坂本副社長=横浜市西区

 日産自動車(横浜市西区)は13日、自動運転技術を搭載してフルモデルチェンジしたミニバン「セレナ」を8月下旬に発売する、と発表した。自動運転は高速道路の単一車線で機能し、搭載は国産車で初めて。ミニバンクラスでは世界初となる。日本での中核モデルである同車種の刷新で、苦戦が続く国内市場で反転攻勢に打って出る。

 セレナは1991年に初代を発売以降、累計販売150万台以上に上る国内の主力車種。5代目に当たる今回は自動運転技術「プロパイロット」を搭載する。高速道路の単一車線でアクセル、ブレーキ、ハンドル操作がいずれも不要で、時速30~100キロメートルの範囲で走行する。渋滞時の頻繁な停止・発進にも対応する。

 車庫入れや駐車を自動で行う「インテリジェントパーキングアシスト」や、後方の景色をクリアな映像で表示できる室内ミラー「スマート・ルームミラー」などは、現行より精度を高めて搭載する。

 外観は日産デザインの象徴である「Vモーショングリル」を際立たせ、精悍さを強調。室内は現行より拡大し、上級セダンで採用してきた体への負荷を軽減するシートを1~2列目に採用するなど快適性を高めた。エンジンでは、現行のハイブリッドシステム「スマートシンプルハイブリッド」の燃費性能を向上させたという。

 同日開かれた発表会で、中村公泰副社長は「300万円を切る価格設定を考えている。自動運転の新技術搭載もあり、より一層、お客様の思い出づくりのパートナーとして受け入れられる」と語った。

【試乗ルポ】前方車に合わせ渋滞時も滑らか



 横須賀市にある日産のテストコース「グランドライブ」で13日、新型セレナの自動運転を体験した。

 自動運転はハンドル上の二つのスイッチを順に押すことで起動する。オンになるとハンドルはグッと重たくなった。ステアリングの制御が始まったためだ。ただ「いつでも止まれるよう右足はブレーキペダルのそばに」と同乗の説明員。

 前方の誘導車に引っ張られるように時速40キロほどでスムーズに巡航。前方車がなくても事前設定した上限速度内で走り、割り込まれてもそのクルマと一定距離を開けて走行を続けるという。オフはブレーキを踏むだけと簡単だ。

 ハンドルから手を離し続けると、センサーが反応して警報が鳴り始めた。モニターにも表示が出たが無視していると、さらに大きな警告音が鳴った。

 便利さを感じたのは渋滞時。前方車の挙動に合わせ、停止と発進を何の操作もなく滑らかに繰り返した。停止が3秒以上になると制御が勝手にオフになったが、別のボタンを押すと再開。運転者の意思を生かすためという。

 運転への関与が完全になくなる訳ではなかったが、慣れると横を向いて説明員の顔を見る余裕も。もっと運転したいでなく、もっと乗っていたいという不思議な感覚を覚えながら2キロ弱のコースを走り終えた。

【解説】「技術の日産」印象付け



 新型セレナに搭載の自動運転技術は、2020年に市街地での完全な自動運転の実現を目指す日産にとって、技術開発の第1段階だ。高速道路の単一車線での使用という条件付きだが、他の国内メーカーに先駆け市販化にこぎ着けた点から「技術の日産」を強く印象付けたといえる。

 一方、海外では新興の米電気自動車ベンチャー「テスラ・モーターズ」や独自動車大手「ダイムラー」などが部分的な自動運転技術を既に市販化。グーグルやアップルなどの異業種も開発レースに加わっており、今後さらに苛烈な競争が繰り広げられるとみられる。

 新技術への期待が高まる一方、無視できないのが米国で5月に起きた死亡事故だ。自動走行中だったテスラ社のセダンが側道から進入してきたトレーラーに衝突し、運転手が死亡した。原因は究明中だが、法令の在り方や責任の所在など社会的な議論の一層の必要性とともに、技術的課題への懸念も浮上する。

 日産で開発を担当する坂本秀行副社長は、セレナの水準について「自動運転というより運転支援システムだ」と言明し、技術の過信に注意を呼び掛けた。初の自動運転車に量産のファミリーカーを選んだ意義は大きい。ただ安全性を巡る限界のない要求に技術がどこまで迫れるかが、真の普及の成否を握る鍵となろう。


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