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レインボー・リール東京
LGBTを身近に  多様な映画、一挙公開

カルチャー 神奈川新聞  2016年07月07日 13:32

 性的少数者(LGBT)が題材となる国内外の注目映画を集めた「レインボー・リール東京~東京国際レズビアン&ゲイ映画祭~」が、今年、開催25回目を迎える。主催団体がNPO法人に認定されるなど、1992年に都内の小さな研修室から始まった映画祭は、新たな一歩を踏み出し始めた。


「ミステリアス・スキン」(NPO法人レインボー・リール東京提供)
「ミステリアス・スキン」(NPO法人レインボー・リール東京提供)

 映画祭は、「LGBTのポジティブなメッセージを社会に伝え続けたい」と、NPO法人化され、名称も一新。多様性の象徴といわれる「レインボー」に、映画のフィルムを表す「リール」を組み合わせた名前へと生まれ変わった。

 「認定をきっかけに、映画祭にかかわる気持ちも変化した」と話すのは、広報を担当する樋口康(40)=横浜市在住。そんな折、米南部フロリダ州のナイトクラブでLGBTが被害者となるテロ事件が起きた。「恐怖と悲しみから、ニュースを直視できなかった」と視線を落とすが、「LGBTのポジティブな面も発信していきたい」と映画祭に思いを込める。

 中学生の頃から、恋愛対象が同性と感じてきた。家族や友人にも打ち明けられず、「自分が同性愛者であることを認めたくない」「嫌われたくない」と自分を押し殺して生活を送っていた。映画祭と出合ったのは大学生のとき。雑誌で開催を知り、勇気を出して都内の会場に足を運んだ。

「居心地良い」空間


 スクリーンに堂々と映し出されるセクシュアルマイノリティーの物語。「恥ずべきこと」と感じていたが、「映画に自分自身が投影されているようで、初めて自分を肯定的に見られた。すごく居心地が良かった」と、映画祭が大好きになった。


「『ゲイビー・ベイビー』は、子育て世代の人にも見てほしい映画ですね」と話す樋口康=東京都内
「『ゲイビー・ベイビー』は、子育て世代の人にも見てほしい映画ですね」と話す樋口康=東京都内


 「メンバーは、BL(ボーイズラブ)好きの女性から、映画好きまでさまざま」。映画祭の運営メンバーは約20人。「お互いのセクシュアリティーはなんとなく分かっているけど、聞くことは自然じゃないし、みんな気にしないんです」。それぞれの存在を知り、多様性を認めあう仲だからこそ、寛容で「居心地が良い」空間が生まれる。だが、日常に戻ると、「傷つくことも多く」、不寛容さが目立つ。

 何げない会話の中で同僚から、「ゲイはエイズにかかっているやつら」などの差別的な発言が飛び出す。「大好きな人だったのに、大嫌いになってしまう。そういう繰り返し。それを積み重ねていくうちにだんだん心も疲れてきてしまう。差別することはなくならないと思うけれど、知らないで差別している人があまりにも多すぎる」

 NPO法人化され、自分たちには社会的な役割も期待される。「映画祭を知ったその先に、その人がどう変わるのか頭に描きながら、運営に関わるようになった」と樋口。渋谷区のように同性カップルを後押しする自治体も出てきてはいるが、「制度ばかりが先行する世の中。芸術やエンターテイメントの力を通して、もっと私たちが身近にいることを伝えていきたいです」。

ほとんどが日本初上映


 上映作品は、ファンタジーから、ドキュメンタリー、ファミリー系と短編も含む計16本。メンバーが、一年を通して世界中から情報を集めて選び、ほとんどが日本初上映作品だ。オーストラリアを舞台に、ゲイカップルに育てられた子どもを追ったドキュメンタリー映画「ゲイビー・ベイビー」、ハリウッドの人気俳優が出演する「ミステリアス・スキン」なども上映。


「ゲイビー・ベイビー」の一場面(NPO法人レインボー・リール東京提供)
「ゲイビー・ベイビー」の一場面(NPO法人レインボー・リール東京提供)

 

 映画祭は、9~15日がシネマート新宿(東京都新宿区)。15~18日は、スパイラルホール(同港区)で開催。8日には、港区で、音楽イベントも開催。チケット料金や作品の詳細は、映画祭のホームページを参照。


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