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箱根山、噴火警戒レベル3から1年 ガス濃度低下に期待

社会 神奈川新聞  2016年06月30日 02:00

蒸気の噴出が続き、立ち入りが規制されている大涌谷=27日(箱根町仙石原で撮影)
蒸気の噴出が続き、立ち入りが規制されている大涌谷=27日(箱根町仙石原で撮影)

 箱根山・大涌谷周辺で火山活動が活発化し、噴火警戒レベルが初めて3(入山規制)に引き上げられてから30日で1年を迎えた。現在は火山活動は沈静化、警戒レベルも1(活火山であることに留意)に引き下げられているが、大涌谷ではいまだ多く蒸気が噴き出し、火山ガスの影響で園地内には観光客が立ち入れない状況が続く。5月から始まった蒸気井の工事は、本来は温泉供給が目的だが、ガス濃度を下げる効果も期待され、大涌谷観光の復活も担う。

 温泉供給業者「箱根温泉供給」によると、最も勢いよく蒸気を噴き出しているのが52号蒸気井。温泉供給に必要な「造成塔」と呼ばれる装置は、警戒レベル3への引き上げで完全に立ち入りが規制されたため、硫黄の除去などのメンテナンスができなかったことからバランスが悪くなり、風で倒れたとみられる。

 今年4月、ガスマスクの着用など条件付きで52号蒸気井周辺への立ち入りが認められ、5月末から造成塔の建て替えなどの作業が始まり、7月10日ごろの完了を目指す。

 工事完了により期待されるのが、ガス濃度の低下だ。同社は「造成塔を設置し水を加えられるようにすることで、火山ガスの成分が水に溶け、放出される量が減り、濃度が低下する」と期待している。

 作業員の立ち入りが認められるのに伴い、温泉の供給量も徐々に回復してきている。平常時日量平均約4千~4500トンだった供給量が、昨年8月には約1200トンに落ち込んだが、現在は約2600トン。造成塔のほか、温泉供給用の配管なども壊れており、平常時の日量に戻るには半年程度かかる見込みという。同社は「レベル3の時と比べ蒸気は安定しているが、風向きや場所で濃度が異なる。慎重に進めたい」とする。

 工事は大涌谷観光の命運も握る。現在、火口周辺の上空を通る早雲山-大涌谷間のみが運休している箱根ロープウェイの全線再開時期について、町は「7月上旬以降を目指す」との認識を示している。根拠の一つとしているのがこの工事の完了で、同様に園地の部分開放も「7月中旬以降」としている。

気象庁「引き続き注意必要」

 火山ガスの噴出が続く箱根山の火山活動について、気象庁は「引き続き注意が必要」との見解を示している。「噴火の兆候は認められないが、大涌谷の火口域では噴気活動が活発なところがある」ためだ。

 その一方で、微小な火山性地震は極めて少ない状況が続いている。昨年4月下旬に活発化した今回の火山活動で、県温泉地学研究所が独自に捉えた地震の回数は今年5月末までで1万2800回余り。6月は発生のない日がほとんどで、起きても1日に1回程度という。

 昨年6月30日に噴火警戒レベルが初めて3(入山規制)に引き上げられるきっかけとなった観測史上初の噴火について、気象庁は日時を特定していないが、温地研は住民から寄せられた降灰の情報などを踏まえ、29日午後0時半ごろと推定している。


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