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祖母と母殺害の16歳少年、家裁移送

社会 神奈川新聞  2016年06月24日 15:20

 横浜市戸塚区の自宅で昨年5月、祖母と母親を殺害したとして殺人罪に問われた少年(16)の裁判員裁判で、横浜地裁は23日、「犯行は残忍だが、精神的に未熟で、少年院で更生させるのが相当」として、横浜家裁に移送する決定をした。検察側は不定期刑の上限に当たる懲役10年以上15年以下を求刑していた。殺人罪の裁判員裁判で家裁への移送決定は極めて異例。

 近藤宏子裁判長は決定理由で「包丁で多数回突き刺し、極めて危険で残忍な犯行。公判でも不遜な態度で、反省や後悔の念も示していない」と非難。一方で少年は精神的に未熟で成育歴も影響を与えたとし、「犯罪の重大性に向き合うため、少年院で個別的な教育を受ける方が効果的」と、保護処分によって更生させることが相当と判断した。

 決定によると、少年は昨年5月、当時81歳の祖母と50歳の母親の胸部や背部などを包丁で突き刺し、失血死させて殺害した。

 少年法は、16歳以上の少年が故意に人を死亡させた場合、検察官送致(逆送)を原則と定めている。少年は当時15歳だったが、家裁が逆送を決定し、起訴されていた。家裁は今後あらためて少年審判を開くなどして処分を決める。

厳罰化の流れに一石

 横浜地裁が事件を再び家裁に送ることを決めたのは、少年の未成熟さや更生の可能性を重視したためだ。

 少年は法廷で、動機について「興味がない」などと繰り返し反省や後悔の念を示さなかったが、鑑定した精神科医は「自分の感情を十分理解できておらず、言語化して表現することが困難」と説明。決定はこの鑑定結果を採用した上で、精神科医らとの交流で態度の軟化が見られたことなどを踏まえ、「更生の可能性がある」と判断した。

 一方、決定は「保護処分が許容されていいか、一抹のちゅうちょを感じる」とも指摘。閉廷後に会見した裁判員も「少年は弁護人や検察官の言っていることを本当に分かっているのか困惑した」と打ち明けた。

 別の裁判員が「事件に向き合う精神状態になく、少年院の更生プログラムが適切だと感じた」と語るように、犯行の残忍さや結果の重大性だけでなく、少年が抱える問題も丁寧に審理した結果と言える。

 裁判員制度開始前の調査では、プロの裁判官ではない一般市民にとって被告が少年であることは「刑を軽くする要素」よりも「重くする要素」になるとの回答が上回っていた。今回の決定は、厳罰化の流れが指摘される少年事件の在り方に一石を投じた格好だ。


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