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学校内の指定廃棄物 保護者へ5年間説明せず

社会 神奈川新聞  2016年06月22日 02:00

放射性物質に汚染された「指定廃棄物」が入ったドラム缶=横浜市西区
放射性物質に汚染された「指定廃棄物」が入ったドラム缶=横浜市西区

 東京電力福島第1原発事故に由来する放射性物質「指定廃棄物」が横浜市の公立学校など17校に5年以上置かれている問題で、市が直接、保護者に保管の事実を伝えていなかったことが分かった。市は「ホームページ(HP)に関係資料を掲載し、公表と考えてきた」と説明。保護者からは「子どもの安全に関わる重要な問題。説明会や文書を通じて全保護者に説明すべき」との声が出ている。

 問題の指定廃棄物は各校の「雨水利用施設」の貯水槽にたまった汚泥。放射性セシウム濃度が1キロ当たり8千ベクレル超で、計約3トンに上る。環境省が2013年12月、放射性物質汚染対処特措法に基づいて「指定廃棄物」に指定した。政府に処理の義務があるが、同省は「処理の方法や場所が決まっていない」として事実上の“放置”が続いている。

 また、8千ベクレル未満のため「指定廃棄物」に認定されない廃棄物も17校とは別の26校で保管されている。市教育委員会教育施設課などによると、こうした事実について、市は保護者向け説明会や文書連絡をしてこなかった。学校側にも詳細を伝えなかったという。


「指定廃棄物」は、子どもたちが生活する学校の校舎内に保管されている
「指定廃棄物」は、子どもたちが生活する学校の校舎内に保管されている

 3月上旬にテレビ朝日が「横浜市内の学校が指定廃棄物を保管」と報道した後、市教委はようやく計43校に保管事実を伝えた。しかし、その際も保護者への説明を実施するよう学校に要請しなかったという。

 保護者らでつくる各校横断の「学校・保育園の放射能対策 横浜の会」は「説明がないのはおかしい」として、再三にわたり詳細な説明を求めてきた。4月下旬に市を訪れたメンバーは「文書で通知してほしい」「新任の校長、副校長が着任した際はその都度、説明を」と要望。現状や処理の見通しなどを広く公開するよう求めていた。

 状況が変化したのが6月。市放射線対策本部会議(統括本部長・渡辺巧教副市長)が5月下旬に「学校外での保管の検討を始める」と決めたことを受け、同課は今月10日、計43校に対し「放射性廃棄物を保管している状況と、本部会議の決定事項について保護者への対応をお願いしたい」とメールで連絡した。「参考資料」として保護者向け配布用文書を添付。保管状況などについて「適切に管理しており、児童・生徒への影響は全くない」と記している。


一部の保護者に配られた文書(保護者提供9
一部の保護者に配られた文書(保護者提供9

 文書は初めて保管事実を伝える形となっているが、保護者に配布しているのは一部にとどまるという。同課は「各学校長の考え方や方針が異なるので、教育委員会として一律に(保護者への説明を)指示できない。対応は学校長の裁量に任せている。4月以降、HPを修正し関係資料を見やすくした。今後も保護者らの不安な声に対応していきたい」と話している。


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