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人気の国産青果物、世界へ 鮮度保ちコストも抑制で

経済 神奈川新聞  2016年06月20日 16:55

CAコンテナに運び込まれる全国からの青果物=大黒ふ頭
CAコンテナに運び込まれる全国からの青果物=大黒ふ頭

 環太平洋連携協定(TPP)の発効を視野に、海外で人気の国産青果物の輸出ビジネスが注目を集めている。コンテナ内部を低温、低酸素状態にして鮮度を保ち、輸送コストも大幅に抑制できる特殊な「CAコンテナ」を活用。輸出業者と海運会社がタッグを組み、日本ブランドの海外展開拡大を図る。

 産直の新鮮な野菜や果物がCAコンテナに運び込まれる。毎週金曜日、横浜港・大黒ふ頭の倉庫で見られる光景だ。北海道のナガイモ、群馬のキャベツ、茨城のメロン、長野のサニーレタス、沖縄のカボチャ…。この後、積み荷約5トンのCAコンテナは約2週間の船旅に出た。向かった先はタイだ。

 荷主は横浜市青葉区のアライドコーポレーション。タイ食品の輸入販売を手掛ける中、昨年10月から日本産の青果物をタイに輸出している。きっかけはタイでの日本食人気。日本食レストランは10年ほどで3倍以上に増えたが、食材となる野菜が不足しており、ビジネスになると考えた。円安も追い風になった。

 日本の青果物は、特に柔らかさや甘みが好評だ。訪日外国人客(インバウンド)としておいしさを知り、「日本人以上に産地にこだわる人もいるほど」(担当者)。社員旅行で日本を訪れたタイ人社員から野菜が好評だったことも、新事業への参入を後押しした。

 課題はコストと鮮度だった。例えばホウレンソウを空輸すると卸売価格は日本国内の約3倍に上る。一方、2週間ほどかかる船便では葉物野菜などは到着までに傷んでしまう。コスト抑制か、鮮度維持か。難題を解決したのが、CAコンテナを使った日本郵船グループの輸送システムだ。

 日本郵船グループによると、青果物は収穫後も呼吸しており、酸素を吸い、二酸化炭素を吐くことで糖分が失われ、品質が低下する。CAコンテナは内部の窒素濃度を高め、酸素濃度を大気中の4分の1程度の5%に減らすことで青果物の呼吸を抑制。船便でも鮮度低下を防ぐことができる。輸送コストは空輸の10分の1程度といい、アライドコーポレーションの担当者は「日本の青果物は高価で販売対象が富裕層に限られていたが、適正価格で多くの人に味わってもらえる」と話す。

 週1回の出荷は1回当たり1トン余りで始動したが、現在は約5トンに成長し、取扱品目も約30種に上る。ゼロからのスタートだったが、仲卸業者を通じて日本国内の産地を増やすとともに、タイでの販路を独自に拡大。日本資本の大手百貨店や現地資本のスーパーなどで販売し、日本資本の大手外食チェーンでも食材となっている。7月からはコンテナのサイズを従来の20フィートから倍の40フィートに拡大し、1回当たり約10トンを出荷する。

 同社の氏家勇祐社長は「タイ食品の輸入に次ぐ2本目の大きな柱として、日本各地の紹介も兼ねて販売していきたい。タイとは技術提供や人の交流を増やすことで、日本の農業を盛り上げていきたい」と話す。

 日本郵船グループは、連結子会社「MTI」の技術開発力を生かし、2013年ごろからCAコンテナの輸送試験などを開始。14年からは商業ベースでの輸送を本格化し、16年は前年比で3倍以上の取扱量を目指す。日本郵船は「政府がTPPを成長戦略の切り札とする中、CAコンテナを使った青果物の海上輸送方法が一つの選択肢として選ばれるようグループ一丸となって取り組む」としている。


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