1. ホーム
  2. 経済
  3. 県内決算ウオッチ 原油安 運輸業は恩恵 エンジニアリング大手 低迷、事業多角化へ

県内決算ウオッチ 原油安 運輸業は恩恵 エンジニアリング大手 低迷、事業多角化へ

経済 神奈川新聞  2016年06月01日 13:13

 年初から続いていた原油価格の記録的な下落は県内企業の2016年3月期決算にも影響を及ぼした。運輸業は燃料費減少で恩恵を受けた一方、エンジニアリング大手では石油関連プラントの設備投資が低迷するなど事業環境が停滞。原油相場は戻り歩調だが、低リスクの受注戦略や新規事業の成長に活路を見いだす。

 コスト低減とともに原油安に伴う燃料価格の低下が業績を押し上げたのが、丸全昭和運輸(横浜市中区)だ。16年3月期連結決算は、売上高と営業・経常・純利益がいずれも過去最高。特に利益はいずれも3期連続で過去最高益を更新した。

 燃料の仕入れ価格の単価は前期比22%減で、1リットルあたり20円以上も下落。燃料関係費総額は約3億円程度の減となり利益を押し上げた。ただ「追い風となった価格下落も底を打った感じ」と担当者。17年3月期の下落幅は数円程度を予想し、損益への影響はほとんど見込んでおらず、「売り上げの割に利益は厳しめにみている」と話す。

 小田急電鉄(東京都新宿区)も燃料費減少の恩恵を受けた。16年3月期の運輸業における燃料費はグループ全体で15年3月期比約13億円減少。箱根の火山活動活発化の影響で運輸業の売上高は15年3月期に及ばなかったが、原油価格の下落が営業利益に大きく寄与した。担当者は「会社の規模に照らすと、過去最高の営業利益を更新した一因と考えられる」と話す。今後の原油市場動向については慎重な見方をしているが、17年3月期の運輸業燃料費はグループ全体で前期比2億円減を見込んでいる。

 県内バス大手の神奈川中央交通(平塚市)も乗合業の利用客増に加え、原油安で燃料費が減少し営業利益を押し上げた。決算会見で大木芳幸常務は「原油価格の下落がコストダウンに追い風となった」と振り返る。一方、17年3月期については小田急同様に慎重な見方だ。「原油価格は55ドルぐらいの水準(に値を戻す)」(同常務)として、業績予想は堅めにしている。

 原油安で収益源の液化天然ガス(LNG)プラント受注が落ち込むエンジニアリング大手では、新たな収益の柱を育てる動きが加速している。

 一部のプラント関連プロジェクトで採算が悪化したのが16年3月期の大幅減益の一因となった千代田化工建設(横浜市西区)。川嶋誠人専務執行役員は「長引く資源価格低迷で(資源開発会社の)投資意欲がますます慎重になっている」と会見で繰り返した。

 一方で売上高はオーストラリアや米国、ロシアのLNGプラント案件が進行し過去最高を更新。受注残高も過去2番目の高い水準だ。

 経常減益を見込む17年3月期はLNG受注残の収益化に加え、採算性の精査を徹底。LNGに代わる柱として、新エネルギーやライフサイエンスといった事業の多角化を進めていく。 


シェアする