1. ホーム
  2. 社会
  3. オバマさん原爆は正義ですか 県内被爆者、広島訪問に思い

「謝罪の言葉を出発点に」
オバマさん原爆は正義ですか 県内被爆者、広島訪問に思い

社会 神奈川新聞  2016年05月26日 09:41

「原爆投下は正しかったという米国人の意識を変えたい」と願う佐藤良生さん=横浜市
「原爆投下は正しかったという米国人の意識を変えたい」と願う佐藤良生さん=横浜市

「原爆投下は正しかったという米国人の意識を変えたい」と願う佐藤良生さん=横浜市
「原爆投下は正しかったという米国人の意識を変えたい」と願う佐藤良生さん=横浜市

 核なき未来へ、ひと言の謝罪を-。現職の米大統領として初めて被爆地・広島を訪れるオバマ氏に新たな平和の光を見いだそうとしている被爆者が、県内にも大勢いる。14歳のときに広島で被爆した佐藤良生さん(85)=横浜市栄区=もその一人だ。「『原爆投下は正しかった』と考えている米国人の意識が変わるきっかけになれば」。待ち望んでいた歴史的瞬間に願いを重ねる。罪もなく命を奪われた人を悼み、苦しみ続けた被爆者への謝罪の言葉があると信じて。

 「見渡す限りの家が倒壊し、顔の見分けがつかないほど真っ黒に焼かれ、多くの子どもが命を落とした」。71年前の8月6日、爆心地から約1キロ離れた自宅は爆風でつぶされた。一緒にいた母、弟、妹の3人が被爆し、その後亡くなった。自身も26年後にがんと分かり、半世紀以上にわたり健康不安と向き合ってきた。

 横浜市原爆被災者の会の会長を務める佐藤さんが抱いてきた悲しみと苦しみは、次第に平和への願いへと形を変えた。原爆の語り部として県内を中心に多い時で年30回講演。英国、カナダ、ベルギー、インド、中東諸国でも体験を伝え続け、「原爆投下の悲惨さと核廃絶を求める被爆者の思いは、世界中の人たちに共感してもらえた」。

 だが、これまで4回訪れた米国だけは特別だった。仲間の被爆者が現地の記者から、「原爆投下がなければ戦争が長引いていた。原爆は米軍兵士の命を救った」と言葉を掛けられたことが忘れられない。

 「軍人の生命を救うために、より多くの罪のない老人や子ども、女性を殺していいというのだろうか」。やり場のない憤りを覚え、原爆投下を正当化する米国民の意識を変えられないか、と考え続けてきた。

 ただ、「核兵器が非人道的であることを素直に受け止めてくれた。『米国は謝ってもいい』と語る米国人もいた」のは事実。オバマ大統領の広島訪問決定も米国の変化の兆しと映り、「核兵器廃絶に向けた大きな一歩」と歓迎する。

 米政府は「謝罪はしない」意向を明らかにしているが、被爆者と会い、広島で何があったのか、被爆者がどんな痛みや苦しみを抱いてきたかを知ってほしいと願わずにはいられない。それが、歴史的瞬間を未来につなげる唯一の道と信じているからだ。

 「米国は日本に謝り、日本は戦争中に被害を与えた国々に謝る。『悪かった』とひと言でいい。それを出発点にすれば、世界中がもっと仲良くできるはず」


シェアする